I.循環器・腎臓・代謝内科での前期研修
→循環器・腎臓・代謝内科での前期研修の実際
II.将来、専門医(循環器専門医、腎臓専門医、代謝内科)を目指している先生へ
大学病院での研修は1年目に3カ月、2年目に3カ月ずつ、当科で研修してくれることを研修医のみなさんには勧めています。 1年目と2年目では症例から吸収できる量がずいぶん違います。1年目だけだと、あっという間に終わってしまい、 少し慣れてきた、救急疾患で上級医師がなにをしているのか分かりかけるころ、内科医としての基本的なことがやっと理解できた後に次の科に移ることになってしまいます。
2年目での研修では基本的なことがわかった上に新たな視点で、循環器・腎臓・代謝疾患を診ることができるので、非常に有意義に専門疾患を診ることができると思います。 また、循環器疾患が一番多いのは、やはり秋から冬にかけての季節の変わる時期です。急性心筋梗塞や心不全が毎日にように入院してきます。 循環器疾患を濃厚に味わうためには冬がいいかもしれません。
腎臓病も実は季節性があります。 ANCA関連腎炎は明らかに春先に多くなります。
このころに来るとRPGNなどのダイナミックな腎臓病の醍醐味を味わう機会が増えると思います。 糖尿病も当科の専門で糖尿病センターとの連携もよく、糖尿病の血糖コントロールだけでなく、 糖尿病の最大の合併症である血管傷害に起因する虚血性心疾患、糖尿病性腎症を勉強することができます。
<ローテーションの仕方>
前期研修で循環器・腎臓・代謝内科の他にどのような科をローテートするのが良いか?ということを良く聞かれますが、 基本的にはどの科でも何を目的としているかが大事だと思います。
内科を全て経験しておくのも素晴らしい考え方ですし、麻酔科や救急科をたくさん回っておくのも役に立ちますし、 将来どの内科でも皮膚疾患はつきものなので、皮膚科を回っておくことも素晴らしいですし、 糖尿病や高血圧に興味があれば眼底をみれるようになりたいと思うのも自然ですし、 やはり、関連する外科系、心臓血管外科や泌尿器科を見ておくのも有意義だと思います。
内科医は、消化器以外の専門医でも必ず1度や2度は腹痛で痛い目にあいます。 そういう意味では消化器外科を回っておくのも医者としての幅ができると思います。
性格のいい相談好きな先生が多いので、迷った時は気軽に声をかけてください。いつでも相談に乗りますよ。
III.循環器の手技に興味のある先生へ
循環器の手技、カテーテルインターベンション、アブレーション等に特に興味のある先生は、奈良県西和医療センターや奈良県総合医療センターとのたすき掛けという方法があります。
奈良県西和医療センターでは、循環器内科と心臓外科よりなる心臓センターが設置され、豊富な心臓カテーテル検査に研修医1年目から参加することができます。 しかも、前期研修医の先生へのメリットは、循環器以外の内科症例も全てまんべんなく診ることができます。救急症例も多くERの好きな先生にはぴったりです。
奈良県総合医療センターも、カテーテルの症例が豊富であり、1年目からカテーテル検査に参加できるほか、併設している救命救急センター内の循環器グループと一体となって活動しております。 症例も種類も豊富で、珍しい症例の報告も多数しております。さらに、腎臓内科も充実しており、循環器と腎臓の多くの症例を学ぶことができます。
IV.循環器に興味はあるけど総合内科もしっかり研修しておきたいという先生へ
循環器にも興味があるけど、初期研修中は総合内科研修もしっかりしたい、と言う先生には市立奈良病院とのたすき掛けが最適です。
市立奈良病院の循環器内科と総合内科は極めて密に連携し、救急症例の医療に携わっております。
市立奈良病院の循環器内科も救急症例、カテーテル症例がどんどん増加する他、D-MATに興味のある医師もおり、災害医療の現場も体験できます。
V.将来は循環器・腎臓・代謝内科医ではないが、循環器や腎臓も診ておきたいという先生へ
どのような内科医を目指しておられようと、高齢化のこの時代、循環器疾患・腎臓疾患と無関係に医者をすることはできないと思います。 一度見たことのある病気と一度も見たことのない病気では、患者さんへの接し方が根本的に異なります。一度見ておくことは本当に大事です。 現在、高齢者にCKDは極めて高率に合併しております。
腎機能を無視して、内科の薬物治療はできません。心不全も高齢者は良く発症します。 簡単な心不全は、一般内科医のテリトリーかもしれません。診断法、治療法が確立してきております。基本を学べば将来役に立つと思います。
VI.その他のメッセージ
●第一内科は循環器だけではありません!
腎臓病は興味があるが、循環器はちょっと、と言う人。同じく糖尿病には興味があるが、救急はちょっと、と言う先生方もwelcomeです。
第一内科の病棟には、極めて多彩な症例が入院されております。総合内科的な色合いも兼ね備えています。 当科ではやはり専門家である前に内科医であることが大事であると考えていますので、内科的な考え
を十分に勉強してもらいたいという考えで、研修に臨んでいます。 今までのところ、みなさん前期研修が終わることにはかなり力が付いている印象ですね。
後期研修に来られた時には、卒業後、5年ぐらいは主治医としては全ての入院患者さんを受け持ってもらいますが、 検査や勤務内容は希望に合わせてずいぶんフレキシブルにしています。関連病院も、循環器専門病院から一般内科まで色々なパターンがありますので、 希望に沿うようにすることは可能です。 特に最近、女医さんも多くなっているので、日中の勤務だけの先生もいてかなりフレキシブルですね。
●将来世界で活躍したいと考えている先生へ
最近、イチロー、香川、本田、長友など世界で活躍する日本人も増えてきました。もちろん医療の世界でも同じです。 世界を目指している学生さんも奈良医大にはたくさんいると思います。
第一内科は全面的にこのようなモチベーションの高い学生さん、研修医の皆さんのサポートを行います。 大学を卒業後すぐに外国あるいは海軍病院等で臨床研修されるのも一つの方法です。 将来的に一生外国で医師として活躍することを目指されているのなら、その方が良いかもしれません。
しかし、将来的には日本で働き、外国のシステムで教育を受けたいと思っておられるのなら、 日本のシステムも知り、外国のシステムも勉強するのが一番良いかと思います。 外国でキャリアーをあげても、その割に帰国後良いポジションに恵まれない人もいます。 システムがわからなくて知りたい、留学を考えているという人がいれば、第1内科に気軽に相談してください。
また、今後、研究で留学したいと考えている人も大歓迎です。 現在でもHarvard, University , King’s College , London, Wurzburg University, Germanyなどに留学して活躍している先生もいます。 昨年は竹田征治先生が留学中に(Vesalius Research Center, Leuven Belgium) Natureを書きました。
第一内科の中での研究でもPNAS, JAMA, Circulation, JACC, Eur Heart J, JASN, Kidney Inter, Diabetes Care等の世界の一流誌にどんどんacceptされています。→第一内科の業績
●将来開業も視野に入れている先生達へ
地域に密着した医師として開業を考えている先生達も多いと思います。 これからは高齢化時代です。
また、患者さまの要求も多様になってきております。
身近に何でも診てほしい、でも、少し専門的な治療もしてほしい、等々です。 患者さんの声を聞いていますと、○○先生は循環器が強いから○○先生のクリニックに通っている。○○先生は糖尿病の専門家だから、○○先生に血糖を管理してもらっている。 など、患者さまは良く知っています。従って、広い内科知識とともに、専門知識も必要です。
第一内科は結局生活習慣病を担当しているので、開業する際にはプラスになるかもしれません。
また、奈良県内の開業されているOBも多いので、開業医同士の連携は取りやすいかもしれませんね。
●第一内科に入局すると忙しすぎると心配されている女医さんへ
第一内科に入れば、忙し過ぎて、温かい家庭生活が送れなくなると、心配されている女医さんが多いと聞きます(笑)。
出産後の女医さんが、一番融通のきくという理由で、大学での医員や大学院として超フレックスタイムで働いています。
附属病院のそばの大学の敷地内に「なかよし保育園」もあり、ゼロ歳児から就学前まで保育が可能です。将来病児保育も始まると思います。
勤務の調整もできますし、子持ちの先生方も普通に仕事されてますよ。
一度、直接話を聞きに来て頂いても良いかもしれませんね。→第一内科女医さんの声
■後期研修プログラム
I.第1内科(循環器・腎臓・代謝内科)での後期研修
当科では斎藤教授のもと「患者さんにやさしく」をモットーに日々診療にあたっております。
もちろん当科では出身大学も関係なく、学内で研修された方、大学と関連病院のたすき掛けシステムで研修された方、数年間の間、外病院、他大学で研修された方、どのような研修をされた方も大歓迎です。
第1内科の大きなキャリアアップシステムは以下のようなパターンです。 当科では専門科であると同時に内科医であるということが重要であると考えております。
一般内科医としてのスキルアップに加えて、皆さんに循環器・腎臓・代謝の一人前の専門医に成長していただくことを目標にしております。
循環器では、救急疾患や手技が好きな方はカテーテル専門医、 じっくり考えたい方は知的な不整脈専門医、また心不全管理を中心とした心不全・心エコー専門医、コンピュータが好きな方は心臓イメージング専門医、 さらにより全身疾患との関連が強く仕事と家庭の両立が可能な腎臓専門医、患者やコメディカルとのつながりが大きい透析専門医、 予防医学や生活習慣病に興味のある方は糖尿病専門医など、さまざまな道が用意されています。
もちろん皆さんそれぞれ循環器疾患、腎疾患全般はきちっと診療できるようになるのが目標です。
循環器では女医さんが少ないというイメージもありますが、最近、女性の入局者も増えており、心臓では心エコー専門医、また腎臓専門医、一般内科医という道もあります。 また結婚されている方は日中の業務だけというパターンもあり、女性にも対応できる職場を目指しています。(結婚相手は自分で見つけてもらわないといけませんが。)
下記に一般的な例を示します。もちろんこれは一般的な例で、その人それぞれの事情により個々のカリキュラムが異なります。
卒後4年目を目途に内科認定医を取得し、それぞれの専門分野の専門医を卒後6年前後で取得。その後は大学院、非常勤医員、関連病院のスタッフとして専門医として働いて頂くことになります。 また、第一内科の関連病院のなかでは、循環器にかぎらず、一般内科全般を担当できる病院、糖尿病の専門医を取得できる病院もあります。それぞれの希望に沿った関連病院での勤務が可能です。
大学院進学希望の方は、卒後5-7年目に受験されることを勧めます。大学院在学中に多くの院生が、各種所属学会での若手奨励賞を受賞し、その内容は一流誌に発表しています。
研究留学希望の方は、大学院終了後1-2年間、国内の研究機関あるいは海外に留学しています(図)。また、臨床のスキルアップのために国立循環器病センターなどに国内留学する例もあります。
II.後期研修3年間
色々なパターンの後期研修を用意しました!
1.3年目は大学での研修
卒業後3-5年目までは主治医はすべての疾患を担当
カンファレンスでの教育
総回診、カテーテルカンファレンス、腎臓カンファレンス、
若手中心のカンファレンス、臨床抄読会、基礎研究抄読会、
各種テーマ別の講義
循環器、腎臓、糖尿病の専門に繋がる手技、技能は希望を重視
心臓カテーテル、アブレーション、心エコー、ICU管理、
ペースメーカ植え込み、心筋生検の組織所見、
透析管理、腹膜透析管理、腎生検、腎臓の組織所見
4-5年目は関連病院での研修
奈良県総合医療センター、奈良県西和医療センター、市立奈良病院など
2.第1内科‐市立奈良病院(総合内科ER、循環器内科等)との交換研修プログラム
第一内科に入局している方もしていない方も、市立奈良病院とのあいだで、6か月ずつあるいは1年ずつ双方で研修を行うことができます(医大でも、市立奈良病院でも医員の身分)。 専門医の研修だけでは物足りない方、一般内科ももう少し研修したい方、逆に専門研修を受けてみたい方にはちょうど良い制度です。
3.第1内科に入局していても、奈良医大の中の他の内科とのミニローテーションも可能。
問い合わせに関しましては下記の連絡先に気軽にご連絡ください。
(ichinai@naramed-u.ac.jp)