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女性泌尿器科

女性泌尿器疾患とは?

女性患者さんにとって泌尿器科は受診しづらい診療科と思いますが、排尿に関する異常は女性にとっても重要な問題であり、特に40歳台以降の女性の中には、尿失禁(尿が漏れる)や頻尿(トイレの回数が多い)などの症状で悩んでおられる方がたくさんおられます。女性泌尿器科では、女性患者さんの生活の質(QOL)の向上を目指した排尿に関する様々な疾患の治療を行っています。

女性泌尿器科で扱う主な疾患とは?

1.頻尿

頻尿は尿失禁と同様に、膀胱炎、骨盤臓器脱、過活動膀胱、多飲多尿(飲水過多)など様々な病態が原因となっています。また、複数の病因が重なり合っていることも多く、治療の前に正確な病状の確認が必要です。当施設では、膀胱や尿道の排尿機能検査や排尿日誌を用いた患者さんの毎日の排尿状態の分析など、専門医による正確な病態診断を行い、患者さんに最も相応しい治療をお勧めしています。特に高齢の方では、“血液をサラサラにする“といった理由から過剰な水分摂取を行ったり、比較的若い時からの心理的な排尿習慣が原因で、頻用になっていることも多くみられます。また、夜間に起こる頻尿は、日中の下肢への水分貯留や利尿ホルモン分泌の異常が原因であったり、運動不足や睡眠障害、あるいは飲水過多が原因となっており、生活習慣の改善や薬物治療が有効となります。

2.尿路感染症

女性の尿路感染症で最も多くみられるのが膀胱炎です。頻尿や残尿感で発症し、排尿痛(とくに、排尿の終末時)や血尿を伴うことも多く、比較的若い方から高齢の女性まで、広い年齢層でみられます。女性の尿道は短く(4cm程度、ちなみに男性は20cm程度)、細菌が膀胱内に進入しやすいことが原因です。抗菌薬を服用すると数日で治癒しますが、他の疾患と間違われることもあり、診断や治癒の判定に尿検査が必要です。また、腎盂腎炎は膀胱炎や尿路の閉塞性疾患、あるいは膀胱尿管逆流症、尿路結石、糖尿病など何らかの基礎疾患があって起こる場合と、風邪や疲労など体調の不良が誘因となって起こる場合もあります。発熱や腰背部痛が起こり、安静と抗菌薬による治療が必要です。反復する尿路感染症では、他の泌尿器疾患や婦人科疾患など、基礎疾患の有無を検索し、完全に治療することが大切です。

3.尿失禁

  • 腹圧性尿失禁: 咳やくしゃみ、お腹を抱えるほど笑った時など、お腹に力が入ったときに尿が漏れてしまうタイプの尿失禁で、産後や閉経期以後の女性にみられる疾患です。骨盤底の筋肉が弱まり、尿道を支える筋肉や括約筋の力が低下することが原因であり、尿道スリング手術(TVTやTOTと呼ばれる経腟的尿失禁防止術)、骨盤底筋体操、電気刺激療法、薬物治療などの治療があります。手術が最も確実な治療となります。
  • 切迫性尿失禁: 急に尿がしたくなり、トイレに間に合わずにもれてしまうタイプの尿失禁で、高齢男性にも多くみられます。原因として、神経疾患(脳卒中、パーキンソン病など)や過活動膀胱、骨盤底筋の緩みなどが原因となります。治療としては薬物治療、排尿指導、骨盤底筋体操、電気刺激療法などがあります。
  • 混合性尿失禁: 腹圧性と切迫性の両方の症状がある場合です。手術治療と薬物治療の双方を考慮する必要があります。

4.過活動膀胱

最近、マスメデイアによって認知度が上昇している疾患の一つです。過活動膀胱とは、『急に我慢できないような尿意が起こる(尿意切迫感)』ことを主症状とする症状症候群で、頻尿(日中8回以上)や夜間頻尿(夜間に1回以上排尿のために起床する)、あるいはトイレに間に合わずに尿が漏れてしまう切迫性尿失禁を伴うこともあります。最近の日本排尿機能学会の調査では、40歳以上の男女の8人に1人(全国で800万人以上)に過活動膀胱の症状があるとされています。脳卒中や脊髄損傷などの神経疾患が原因となるものと、神経疾患がなく膀胱の神経が過敏になっていたり、骨盤底の筋肉が弱くなっていることが原因となっていることがあります。過活動膀胱の状態を調べる質問票(OAB-SS)を用いて診断や症状の把握を行います。治療としては薬物治療、骨盤底筋体操、電気刺激療法などがあります。

5.骨盤臓器脱

経産婦や高齢女性では骨盤底筋群の脆弱化により、膀胱・子宮・腸管などの骨盤内臓器が骨盤底に下がってくるため、会陰部に脱出した腟壁や子宮をふれる、排尿困難、頻尿、尿失禁など排尿の異常が出る、あるいは下腹部の違和感などの症状がみられます。歩行時、立ち仕事の時、あるいは夕方になると出現することの多い疾患です。脱出する臓器によって膀胱脱、子宮脱、あるいは直腸脱とも呼ばれます。治療としては手術治療、骨盤底筋体操、膣内補助具(ペッサリーなど)などがあります。当施設では、経腟的に行う腟壁形成術と腟壁を骨盤壁に固定する手術を多数施行してきましが、最近ではメッシュと呼ばれる編み目状のシートを用いたTVM手術が導入されています。排尿機能への影響や脱出臓器の種類と程度を評価し、患者さんの病態に併せた最適な手術を行っています。

6.間質性膀胱炎

細菌が膀胱粘膜に感染し、急激に増殖したり、慢性的に炎症を起こす場合が一般的な細菌性の膀胱炎ですが、特殊な膀胱炎として間質性膀胱炎というものが最近話題になっています。典型的な症状は、尿が貯留したときの膀胱痛(下腹部痛)で、頻尿や尿意切迫感があり、過活動膀胱と症状が似ていることもあります。尿検査でも異常が認められないことがほとんどで、診断には、膀胱の中を内視鏡(膀胱鏡)で観察し、膀胱内に水を貯留し膀胱を拡張させ(水圧拡張)、水を排出する過程で膀胱の粘膜から出血してくることを確認することで診断がつき、また初期治療となります。アレルギーや自己免疫疾患などが原因と考えられていますが、はっきりとした原因は不明です。治療は水圧拡張のほか、間質性膀胱炎の病態に応じた特有の薬物療法などがあります。

7.尿道憩室

まれな疾患ですが、排尿痛や排尿困難、尿線の異常など排尿障害を生じる尿道を取り巻く嚢胞性疾患です。20-40歳代の比較的若い女性にみられ、画像検査で診断されますが、手術治療が必要です。当施設では、手術方法の工夫を行い、根治性の高い手術を行っています。