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5)外来診療
平成16年7月から今までの5診体制から6診体制にかわり、6診は初診外来として活動しております。ご紹介症例が増加するにつれて今までの体制では、待ち時間が極めて長くなる短所がありましたので、思い切って部屋を改造し、一診追加しました。まだ、試行錯誤ですがより良い外来になればと思っております。

外来では、循環器系と腎臓・膠原病、高血圧・糖尿病と生活習慣病を担当しており、1日平均180名の受診があります。
 また、再生医療の開始に伴い、専門外来として「血管内科外来」を開設致しました。多くの症例のご紹介をお願い申し上げます。




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6)外来ニュース

外来ニュース01「閉塞性動脈硬化症に対する再生治療について」
<創刊にあたって>
 残暑の候,先生方におかれましては益々ご健勝のこととお喜び申し上げます.この度,当科における最新医療情報について,先生方にお伝えすべく,「第1内科ニュース」を不定期ではございますが,創刊させて頂くことになりました.
 毎回,異なる特集テーマを取り上げ,先生方の日常診療にお役立ちになれば幸いです.今回の特集は,「閉塞性動脈硬化症に対する再生医療について」です.

1.対象と方法
 対象は,他の治療法では治療困難な20歳から85歳未満の重症虚血下肢患者さんです.まず,精査の上,再生医療が可能であるかを検討します.可能であれば,全身麻酔下で腸骨から骨髄液を採取し,血管に分化するとされる幹細胞を分離・濃縮します.濃縮した幹細胞を虚血下肢に約50ヵ所筋肉内注射し,約1ヵ月間,経過を観察します.

2.結果
 下記に示しますのは,先日,左側の虚血下肢に対して再生医療を実施した72歳男性患者の治療経過です.治療後,疼痛が半分にまで軽減し,上腕・足首血圧比と胸骨上・足背上経皮酸素分圧比がしだいに上昇しました.さらに,1ヵ月後のサーモグラフィーでは,体温の上昇を認めました.なお,6月末日までに3例の重症虚血下肢患者さんに対し再生医療を実施し有効性を確認しています.



 ■再生医療実施前  ■再生医療実施1ヵ月後

バージャー病や閉塞性動脈硬化症など,虚血下肢についてのお問い合わせは,

奈良県立医科大学 第1内科 岡山悟志(毎週金曜日 午前・午後 血管内科外来)まで
ご紹介のほど、よろしくお願いします。



外来ニュース02「不整脈症例紹介のお願い」
平素より、当院循環器・腎臓・代謝内科に格別の御高配を賜り厚く御礼申し上げます。
当科では、循環器診療の中でも心臓電気生理部門
(不整脈)の非薬物療法が皆様の御期待に沿える内容に充実して参りましたので、さらに症例をご紹介いただきたく簡単ではございますが、現況をご報告させていただきます。
 当院では平成15年11月から新しい心臓カテーテル検査室がオープンしました。カテーテル診断装置は2台の最新鋭フラットパネル型の撮影装置が設置され、心臓電気生理解析装置もGeneral Electric社製に一新されています。さらにカテーテルアブレーション(カテーテル心筋焼灼術)用の3次元マッピングシステム(EnSite ェ、右図)が、近々全国に先駆けて導入される予定であり、より難易度の高い不整脈にも対応できるようになってきています。心臓電気生理関係の症例数は、お蔭様をもちまして表1のように順調に増加してきています。特に、カテーテルアブレーションは大幅に症例数が増加しており、概ね安定した成績が得られています(表2)。合併症につきましても重篤なものは発生しておりません。また、心臓再同期療法(両室ペーシング)も平成15年から開始しています。

EnSite System

左;右房内に留置された3-Dマッピング用のバルーン


右;右房の3-D画像。紫以外のカラー表示されている部分が脱分極していることを示しています。
当科では適応を慎重に検討しながら、これら心臓電気生理治療を、さらに充実・発展させて参りたいと考えています。今後も薬物療法・非薬物療法にかかわらず、不整脈の症例を御紹介いただけますようお願いいたします。

不整脈外来は
月曜(西田)で行っています。



アブレーション用カテーテル (7Fr)
Carto Systemによるカテーテルアブレーション
サルコイドーシスに合併した心室頻拍例の右室の3-D画像(背面からの像)。興奮順序は赤橙黄緑青藍紫の順で、赤の部分(右室中隔心基部)が心室頻拍の起源と考えられ、同部位を焼灼しました。







外来ニュース03「腎生検の適応について」
平素は第1内科に格別のご高配を賜り、誠にありがとうございます。
    昨年、日本腎臓学会から「腎生検ガイドブック」が発刊されました。診断から治療までグローバル・スタンダード化が要求される昨今、この様なガイドブックに従って腎生検を実施し、診断、予後の推定や治療方針を決定することが求められています。
当科では、現在までに約5000例の腎生検を実施しており、安全な腎生検手技を確立し、的確な病理診断を行っております。
下記の適応にあてはまる症例がおられましたら、是非、当科の腎臓内科専門医にご相談ください。

腎臓外来は、月 (赤井・田川)、火 (松井・田邊)、水 (對馬)、
      木 (田川)、金 (鮫島・松井)です。


腎生検の適応

1)随時尿を用いた定性検査で、尿蛋白(+)~(2+)程度が持続する。
2)血尿と蛋白尿を同時に認める。
3)ネフローゼ症候群が疑われる。
4)急性腎不全が疑われる。
 (血清クレアチニンが1.5 mg以上を示す症例は、一度ご相談ください。
  急速進行性糸球体腎炎の死亡率は約30%です。治療が遅れると救命することが
  難しくなります。)
5)膠原病などの全身性疾患があり、蛋白尿を呈する。
6)糖尿病で尿蛋白(+)以上が認められる。


症例:

腎機能正常(BUN 8mg/dl, Cr 0.8mg/dl)で、尿蛋白(2+)と尿潜血(3+)のため紹介され、腎生検で半月体形成性糸球体腎炎と診断された一例





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7)トピックス
心臓カテーテル検査におけるOCT
(Optical coherence tomography;光干渉断層撮影)導入の御紹介」

平素より、当院循環器・腎臓・代謝内科に格別の御高配を賜り厚く御礼申し上げます。当科では、昨年の9月より心臓カテーテル検査時の冠動脈硬化病変の評価法としてOCT(光干渉断層撮影)を導入いたしておりますので御紹介させていただきます。  

冠動脈硬化病変の評価および観察方法として、血管内超音波法(IVUS)が一般的に用いられているのはご承知かと存じます。IVUSは血管径や分枝などの情報を得るという点では優れていますが、空間分解能が低いため血管壁や冠動脈硬化病変の微細な構造および性状の質的診断は不可能であります。
一方、従来から眼科領域で臨床応用されてきた光干渉断層撮影(Optical coherence tomography; OCT)は波長の短い近赤外光を用いた断層診断法で、約10μmの高画像分解能(IVUSの10倍)を有しています。最近、冠動脈内に挿入可能なOCT wireが開発され、冠動脈硬化病変の微細構造における様々な知見が報告されつつあります。

当院でも昨年の9月から心臓カテーテル検査時にOCTを導入しており、これまでIVUSでは鮮明に確認しえなかった冠動脈の三層構造(図1)、あるいは薬剤溶出性ステント内の新生内膜増殖構造(図2)などが観察できるようになり、冠動脈硬化病変のよりよい評価法であると考えています。つきましては、これまで以上に心臓カテーテル検査の適応患者様を御紹介いただけますようお願い申し上げます


図1


図2


不整脈診療に新しい治療用機械を導入
心腔内3次元マッピングシステム:エンサイトを用いたカテーテルアブレーション


平成18年4月に新しい心腔内3次元マッピングシステムであるエンサイト(EnSite)が認可され,全国に先駆けて奈良県立医科大学付属病院に納入されました。

エンサイトとは
表面にメッシュ状の電極が配置されたバルーンカテーテルを心腔内に進めることにより,心内膜面の興奮過程の3次元像がコンピュータ画面上に作成されます。他の電気生理検査ではカテーテルを心内膜面に接触させることによってその部位の電位を記録するのに対して,本システムでは接触せずに電位を算出するのが大きな特徴であり,別名non-contact mapping systemと呼ばれています。 本システムは従来のEPSと異なり,興奮過程を3次元的に表示・解析できるため,不整脈の機序を容易に理解することができます。一方,従来のEPSシステムに比して,バルーンによりアブレーションカテーテルの動きが制限され得ること,材料費が増加することなどが欠点として挙げられます。同じ3次元マッピングシステムであるカルト(Carto)システムと比較すると,エンサイトの最大の特徴は,カルトシステムでは1つの不整脈の興奮過程をサンプリングして描出するのに15〜30分を要するのに比して,エンサイトでは数秒で記録できることです。したがって,カルトシステムでは,同じ不整脈が持続する必要があり,しかも頻拍中に血行動態が安定していないといけませんが,エンサイトでは非持続性の頻拍や期外収縮,また,血行動態が安定しない頻拍にも適応可能であることです。


<図の説明>

エンサイトバルーン

バルーンの表面にメッシュ状の電極が配置されており,メッシュの各交点で心内膜面の興奮のfar field電位を感知する。


エンサイトによる不整脈起源の同定

心房頻拍患者の左房の右前斜位像.興奮していない部分は紫、深く脱分極している部分は白、浅く脱分極している部分はレインボーカラーで表示される.図は心房の興奮開始時の像で,中心の白い部分が最初に脱分極している部分,すなわち,心房頻拍の起源である.同部位への1回の通電で心房頻拍は消失した.


エンサイトによる心房細動中の心房興奮の表示

持続性心房細動患者の左房の後面像.興奮が左房前面から左房天蓋部を通って左房後面に伝導している.本例ではこの部位を高頻度に興奮が通過することから,この経路が心房細動の維持に関与していると考えられた.このあと,EnSiteでナビゲーションすることにより左房天蓋部を短時間で確実に線状焼灼し得た.心房細動は一定の興奮経路を通らないため,EnSite以外のシステムにより臨床で心房細動中の興奮パターンを解析することは不可能である.


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8)専門医・認定医の取得について
 奈良県立医科大学第1内科では、すべての医局員が認定内科医の資格を取得することを前提として、研修プログラムが作成されています。認定内科医試験の受験資格には、認定医制度教育病院での3年以上の研修期間が必要です。したがって、卒後3年間は大学病院か認定教育病院(奈良県総合医療センター、奈良県西和医療センター、済生会吹田病院、星ヶ丘厚生年金病院およびベルラント総合病院)で研修を行うことになります。当科では、卒後5年以上の医局員の95%以上が認定内科医を取得しています。
認定内科医を取得後、各専門領域(循環器病、腎臓病、糖尿病など)の研修を行います。
卒後6年から10年して(取得する専門医により必要とされる研修期間が異なります)、
各学会の専門医試験を受験し、専門医資格を取得することになります。当科では、卒後10年以上の医局員の80%以上が、循環器学会認定専門医、腎臓学会認定専門医、あるいは糖尿病学会認定医の資格を有しています。

取得可能な主な認定医・専門医資格
(5名以上の医局員が資格を有しているものに限る


 日本内科学会認定医制度認定内科医・専門医

 日本循環器学会認定循環器専門医

 日本腎臓学会認定専門医

 日本糖尿病学会認定医

 日本透析医学会認定医制度認定医

 日本老年医学会老年病専門医

 日本救急医学会認定医

 日本消化器病学会認定医

 日本消化器内視鏡学会認定医

 日本気管支学会気管支鏡認定医

 日本医師会認定産業医

 日本体育協会公認スポーツドクター

 日本医師会認定健康スポーツ医

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奈良県立医科大学循環器・腎臓・代謝内科 〒634-8522 奈良県橿原市四条町840 TEL:0744-22-3051(代表)
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