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7)トピックス |
心臓カテーテル検査におけるOCT
(Optical coherence tomography;光干渉断層撮影)導入の御紹介」
平素より、当院循環器・腎臓・代謝内科に格別の御高配を賜り厚く御礼申し上げます。当科では、昨年の9月より心臓カテーテル検査時の冠動脈硬化病変の評価法としてOCT(光干渉断層撮影)を導入いたしておりますので御紹介させていただきます。
冠動脈硬化病変の評価および観察方法として、血管内超音波法(IVUS)が一般的に用いられているのはご承知かと存じます。IVUSは血管径や分枝などの情報を得るという点では優れていますが、空間分解能が低いため血管壁や冠動脈硬化病変の微細な構造および性状の質的診断は不可能であります。
一方、従来から眼科領域で臨床応用されてきた光干渉断層撮影(Optical coherence tomography; OCT)は波長の短い近赤外光を用いた断層診断法で、約10μmの高画像分解能(IVUSの10倍)を有しています。最近、冠動脈内に挿入可能なOCT wireが開発され、冠動脈硬化病変の微細構造における様々な知見が報告されつつあります。
当院でも昨年の9月から心臓カテーテル検査時にOCTを導入しており、これまでIVUSでは鮮明に確認しえなかった冠動脈の三層構造(図1)、あるいは薬剤溶出性ステント内の新生内膜増殖構造(図2)などが観察できるようになり、冠動脈硬化病変のよりよい評価法であると考えています。つきましては、これまで以上に心臓カテーテル検査の適応患者様を御紹介いただけますようお願い申し上げます
図1
図2
不整脈診療に新しい治療用機械を導入
心腔内3次元マッピングシステム:エンサイトを用いたカテーテルアブレーション
平成18年4月に新しい心腔内3次元マッピングシステムであるエンサイト(EnSite)が認可され,全国に先駆けて奈良県立医科大学付属病院に納入されました。
エンサイトとは
表面にメッシュ状の電極が配置されたバルーンカテーテルを心腔内に進めることにより,心内膜面の興奮過程の3次元像がコンピュータ画面上に作成されます。他の電気生理検査ではカテーテルを心内膜面に接触させることによってその部位の電位を記録するのに対して,本システムでは接触せずに電位を算出するのが大きな特徴であり,別名non-contact mapping systemと呼ばれています。 本システムは従来のEPSと異なり,興奮過程を3次元的に表示・解析できるため,不整脈の機序を容易に理解することができます。一方,従来のEPSシステムに比して,バルーンによりアブレーションカテーテルの動きが制限され得ること,材料費が増加することなどが欠点として挙げられます。同じ3次元マッピングシステムであるカルト(Carto)システムと比較すると,エンサイトの最大の特徴は,カルトシステムでは1つの不整脈の興奮過程をサンプリングして描出するのに15〜30分を要するのに比して,エンサイトでは数秒で記録できることです。したがって,カルトシステムでは,同じ不整脈が持続する必要があり,しかも頻拍中に血行動態が安定していないといけませんが,エンサイトでは非持続性の頻拍や期外収縮,また,血行動態が安定しない頻拍にも適応可能であることです。
<図の説明>
エンサイトバルーン
バルーンの表面にメッシュ状の電極が配置されており,メッシュの各交点で心内膜面の興奮のfar field電位を感知する。
エンサイトによる不整脈起源の同定
心房頻拍患者の左房の右前斜位像.興奮していない部分は紫、深く脱分極している部分は白、浅く脱分極している部分はレインボーカラーで表示される.図は心房の興奮開始時の像で,中心の白い部分が最初に脱分極している部分,すなわち,心房頻拍の起源である.同部位への1回の通電で心房頻拍は消失した.
エンサイトによる心房細動中の心房興奮の表示
持続性心房細動患者の左房の後面像.興奮が左房前面から左房天蓋部を通って左房後面に伝導している.本例ではこの部位を高頻度に興奮が通過することから,この経路が心房細動の維持に関与していると考えられた.このあと,EnSiteでナビゲーションすることにより左房天蓋部を短時間で確実に線状焼灼し得た.心房細動は一定の興奮経路を通らないため,EnSite以外のシステムにより臨床で心房細動中の興奮パターンを解析することは不可能である.
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8)専門医・認定医の取得について |
奈良県立医科大学第1内科では、すべての医局員が認定内科医の資格を取得することを前提として、研修プログラムが作成されています。認定内科医試験の受験資格には、認定医制度教育病院での3年以上の研修期間が必要です。したがって、卒後3年間は大学病院か認定教育病院(奈良県総合医療センター、奈良県西和医療センター、済生会吹田病院、星ヶ丘厚生年金病院およびベルラント総合病院)で研修を行うことになります。当科では、卒後5年以上の医局員の95%以上が認定内科医を取得しています。
認定内科医を取得後、各専門領域(循環器病、腎臓病、糖尿病など)の研修を行います。
卒後6年から10年して(取得する専門医により必要とされる研修期間が異なります)、
各学会の専門医試験を受験し、専門医資格を取得することになります。当科では、卒後10年以上の医局員の80%以上が、循環器学会認定専門医、腎臓学会認定専門医、あるいは糖尿病学会認定医の資格を有しています。
取得可能な主な認定医・専門医資格
(5名以上の医局員が資格を有しているものに限る)
日本内科学会認定医制度認定内科医・専門医
日本循環器学会認定循環器専門医
日本腎臓学会認定専門医
日本糖尿病学会認定医
日本透析医学会認定医制度認定医
日本老年医学会老年病専門医
日本救急医学会認定医
日本消化器病学会認定医
日本消化器内視鏡学会認定医
日本気管支学会気管支鏡認定医
日本医師会認定産業医
日本体育協会公認スポーツドクター
日本医師会認定健康スポーツ医
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