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腹腔鏡下(ふっくうきょうか)胃手術
太さ約1cm、長さ約30cmで、先端にテレビカメラが装着された棒状の医療器具を腹腔鏡と呼びます。おなかに2cm程度の穴を開け、この腹腔鏡を挿入すると腹腔内(おなかの中)がテレビ画面に映し出されますので、その映像を見ながら様々な手術を行うことができるようになりました。そしてそのうち、胃を切除する手術のことを腹腔鏡下胃手術と呼ぶのです。
【腹腔鏡下胃手術の方法】
手術を行うためには腹腔鏡以外にも数本の特殊な器具を使用する必要があります。すべて長さ約30cmの棒状の器具で、用途にあわせて多様な機能を持たせた腹腔鏡手術用の道具です。1cm前後の小さな穴をおなかに4〜5ヶ所開けてから、それらの器具を挿入します。組織を切ったり、出血を止めたり、腸を切ったり、糸で縫合したり、テレビ画面を見ながら必要な手技はほとんど何でもできるようになりました。
【開腹手術との違い】
腹腔鏡下手術では1〜2cmの小さな穴をおなかに5〜6ヶ所開けて、そこから器具を挿入して胃を切除することになります。ただし、胃切除後の胃の取り出し口として、いわゆる“みぞおち”に近い部位に5〜7cmの傷が必要になりますが、“みぞおち”から臍下まで25〜30cm程度の傷が必要な開腹手術と比較すれば、かなり小さな傷で手術が可能であることが想像できるのではないでしょうか。
しかし大事な点は、腹腔内で行う手術の内容(つまり胃を切除すること)は腹腔鏡手術も開腹手術も同じであるということです。同じ手術を受けるのであれば、傷が小さいほうが術後の回復も楽ではないかと期待できませんか?
<左写真>
平成20年1月に腹腔鏡下胃全摘術を受けられた68才の男性に許可を頂いて、術後5ヶ月のおなかの写真として撮影させて頂きました。
【腹腔鏡下手術で可能な胃の手術】
胃切除法としては、胃部分切除や幽門側胃切除(いわゆる下2/3胃切除)、胃全摘などご存知かもしれませんが、他の術式も含めて基本的にはすべて腹腔鏡下手術で可能です。また、胃癌治療ガイドラインにも記載されておりますが、早期癌に対して適応されることが一般的でありますので、現在は当科でも早期癌のみを対象として行っています。ただ今後は進行癌に対しても適応を拡大していく方針としています。なお、当科で行っている胃癌に対する腹腔鏡下胃手術の基本術式は、幽門側胃切除術(DG)、幽門保存胃切除術(PPG)、胃全摘術(TG)です。
【腹腔鏡下胃手術の現状】
日本で初めて胃癌に対する腹腔鏡下胃手術が行われたのは1991年です。以後現在までに12000人以上の方が受けられました。最近では、年間2500人程度の腹腔鏡下胃手術が施行されており、標準術式の一つとして完全に定着してきていると言われています。胃手術における腹腔鏡下胃手術の割合は、今後ますます増加していくのではないでしょうか。
【では腹腔鏡下胃手術の長所は?】
よく言われることが美容性と回復の早さです。傷が小さいからあまり目立たずきれいであり、体にかかる負担が小さいから回復も早いと言い換えることができます。あるいは術後食べることができるようになるまでの期間が短い、入院日数が短いといったこともよく聞かれます。また傷が小さいので術後の癒着が少なくなり、腸閉塞の発生がかなり防止できるのではないかと期待できます。
しかしこれらのことは本質である癌治療という点から見れば関係のないことばかりで、長所としては説得力に欠けるものであることも否めません。ところが時代とともに器具が発達し、技量が進歩するにつれて、腹腔鏡下手術そのものの長所が指摘されるようになってきました。腹腔鏡下手術とは読んで字の如く、カメラで組織を拡大視して手術を行う方法ということでもあるので、肉眼で行う開腹手術よりも一層細かい(精密な)手術を行うことが可能なのです。事実、術中出血量は開腹術に比較して有意に少ないという結果がどの施設でも出てきています。ちなみに当科胃全摘術での平均値は、開腹術が平均430mlで腹腔鏡下手術が153mlと、圧倒的に少なくなっています。つまり癌治療という観点からも、緻密な質の高い治療を行うことが期待できるという長所を秘めた術式ということです。
【当科での腹腔鏡下胃手術成績】
2001年より胃癌手術として導入し、2007年末までに126例施行。
2007年度成績
総数:26例
内訳:DG 14例、PPG 4例、TG 7例、胃局所切除 1例
合併症:0例
平均入院日数:16.2日
【ご相談ください】
早期胃癌が疑われた方は言うまでもありませんが、腹腔鏡下胃手術を希望される方も、当科では木曜日に胃専門外来を行っております。是非来院していただき、私達にご相談ください。