公立大学法人 奈良県立医科大学 胸部・心臓血管外科学教室  Department of Thoracic and Cardiovascular Surgery 本文へジャンプ
ごあいさつ



  教授  谷口 繁樹


 1981年10月の開設以来一貫して“高い質の外科治療の提供”を目標に掲げ、常に患者さん本位の治療を心掛けています。特に最近では、患者さんの高齢化が進み、治療に際しては個々の患者さんに最も適した治療を確実に実行できるように、その病態を十分把握するべく時間をかけ検討を行っています。また循環器内科、小児科などの関連各科とも緊密に連絡を取り、患者さんを総合的に診察できる体制を構築しています。このことが同時に、急性心筋梗塞、急性大動脈解離、破裂性大動脈瘤といった緊急性の高い循環器疾患にも24時間体制で対応できることを可能にしています。最近増加傾向にある大動脈疾患に関しては、患者さんの他疾患の有病率も高く、低侵襲治療を特に意識し、放射線科と協力しつつ積極的にステント治療も行っています。
 手術適応については、基本的に循環器内科、小児科、放射線科と十分検討を行い決定しています。しかし同じ疾患であっても、個々の患者さんごとに合併症を含む様々な点において重症度が異なるため、最終的には患者さんご自身、ご家族に説明した上で治療方針決定に参画していただき、最終的な手術方針を決定しています。


先天性心疾患
 未熟児を含む新生児に対しても積極的に人工心肺下に根治手術を行っています。また、産科、小児科、NICUと協力し胎児診断により異常があれば、母体搬送後の周産期医療に積極的に参加しています。


冠状動脈疾患
 冠状動脈バイパス術においては、40〜60歳代の比較的若い年齢層の患者さんには積極的に動脈グラフトを使用、また70歳以上の患者さんに対しても生命予後に重要な冠状動脈に対し動脈グラフトを用いてバイパス術を行っています。人工心肺を用いないバイパス術は、様々な理由から本法を用いなければならない患者さんを中心に行っています。最近では、バイパス手術に用いるグラフト血管をできる限り小さな創で採取できるように、内視鏡を用いた手法を導入しています。これにより特に下肢静脈グラフト採取にともなう創が非常に小さくなり、術後早期からの患者さんのリハビリが非常に容易になりました。


弁膜疾患
 人工弁を用いた弁置換に加え、僧帽弁閉鎖不全に対しては積極的に様々な手法を用い修復術を行い患者さんのQOLの向上に努めています。一方、大動脈弁閉鎖不全に対してもその原因を十分に検討し、可能ならばこれを修復するよう努めています。また弁膜症に合併する不整脈、特に心房細動に対し積極的に治療を行っています。


腹部大動脈疾患
 急性大動脈解離、破裂性大動脈瘤に対しては、常に積極的に緊急手術を行えるよう体制を整えています。また本疾患を有する患者さんの多くが高齢で他疾患の有病率が高いことを考慮し、予定手術で行える場合には、低侵襲治療を目指し放射線科と協力して十分に検討を加えた上で、人工血管置換術かステントグラフト内挿術かを決定しています。


呼吸器疾患
 肺癌、気腫性肺疾患、重症筋無力症、縦隔腫瘍など呼吸器疾患全般について外科診療を行っており、内視鏡(胸腔鏡)手術を積極的に行っています。胸腔鏡手術はわが国でも当初から取り組んでおり、麻酔科との連携で侵襲の少ない手術、痛くない手術を実践しています。その結果、手術創の縮小、痛み止めを使わないほどの術後疼痛の軽減により早期離床、早期退院が可能となっています。進行性癌、縦隔腫瘍に対しては呼吸器内科、放射線科とチームを組んで化学療法、放射線治療を組み合わせた集学的治療も積極的に行っています。また残存肺機能の温存を考慮した区域切除等の縮小手術も積極的に取り入れています。肺気腫に対する容量減少術の経験は多く、低肺機能症例に対する手術も安全に施行しています。気道狭窄に対するステント治療では国内及び世界的にも先駆的役割を果たしてきており、気道狭窄による呼吸器症状を改善することにより患者さんのQOLの向上に努めています。

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