研究

基礎研究

脳脊髄虚血のメカニズムと保護戦略

周術期管理と関連する事象として、全脳虚血後の蘇生後脳症、大血管手術でみられる脊髄虚血後の対麻痺などが機能的予後に重大な影響を及ぼしているため、その予防及び治療法について検討しています。ラットやウサギでの脳脊髄虚血モデルを用い、周術期に使用可能な薬剤の神経保護効果を検討しています。
ミクログリアの活性化などの炎症やアポトーシスを制御することで長期的な保護戦略を検討しています。
臨床に応用可能なtranslational researchの確立を目指しています。 (研究担当者:川口昌彦、井上聡己、北川和彦)

癌細胞と周術期使用薬剤との関連性評価

全身麻酔薬や麻薬性鎮痛薬などの周術期使用薬剤が癌患者の予後に悪影響を及さないか、癌培養細胞を用いて特に増殖能に与える影響について基礎的検討を行っています。癌患者の予後改善を目指した周術期管理法の確立を目標にしています。(研究担当者:瓦口至孝)

Fig. ヒト大腸癌細胞HCT116を1%セボフルランに6時間曝露させ、24時間経過した時点での細胞周期解析。


麻酔薬の発達脳に対する神経毒性に関する研究

麻酔薬が発達期の脳に作用しアポトーシスを誘導することで、精神発達を遅延させる可能性が指摘されています。新生児に対する麻酔法の確立や脳障害予防は重要な課題です。我々はin vitroでの系を用いて、麻酔薬の神経毒性の制御に関する研究を行っています。 (研究担当者:瓦口至孝、西和田 忠)

血栓止血に関する研究

血栓と炎症との相互連関をテーマに、現在は全血流動下での血栓形成における組織因子(TF)の役割について研究をしています。局所の内皮傷害における血栓形成と全身性の過凝固上状態における血栓形成のモデルとして、それぞれガラスプレート上に固層化したTFと、全血に添加したTFとがどのように血栓形成に寄与しているかについて、免疫染色を用いて実験しています。TFは古典的外因系カスケードの起点ですが、全血流動化、特に高ずり応力下では血栓形成の起点はVWFと血小板であり、古典的凝固カスケードの知識だけでは血栓形成を理解することはできません。
これらの実験を行うことで、特に動脈系の病的血栓形成メカニズムを明らかにする一助になると考えています。
(研究担当:松成泰典)