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研究内容RESEARCH

クモの糸の紫外線耐性


Fig. 1 太陽光にさらされるクモの巣


Fig. 2 クモの糸と絹糸の紫外線耐性の比較

 クモは家の軒先や茂みの中、欄干、用水路など、人間の生活圏に多く生息しています。クモが自重を支えるために出す糸(牽引糸)は、単位断面積当たりの破断強度が約1.25 GPaと大きく(S. Osaki, Polymer Journal, 39, 267-270 (2007))かつ伸縮性に富むことが知られており、その優れた力学的特性から多くの研究者の興味を引いてきました。加えて、クモの糸は絹糸よりも高い紫外線耐性を持ち、さらに紫外線によって力学的に強化されるという性質が明らかにされています(S. Osaki, K. Yamamoto et al., Polym. J., 36, 623 (2004), S. Osaki, Polym. J., 36, 657 (2004))。
 当研究室ではクモの糸と絹糸の紫外線照射前後の分子量測定を行い、オリジナルの分子量を持つ糸タンパクの濃度減少から紫外線による分解速度定数を算出しました。その結果、クモの糸は絹糸の1.7倍も紫外線に強いことが明らかになっています(T. Matsuhira, K. Yamamoto, and S. Osaki, Polym. J., 45, 1167 (2013))。クモの糸を構成するタンパクは、絹糸と類似した組成を持つタンパク質繊維です。にもかかわらず、なぜ紫外線耐性にこのような差が生じるのかは、まだ解明されていません。当研究室では、クモの糸の紫外線耐性のメカニズムを化学的な見地から解き明かすことを研究の目的としています。

 なお、この研究は、化学教室の四代目の教授である 大崎茂芳 名誉教授(皮膚科学講座特任教授)と協力して行っています。


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