2017年度活動報告

理事長挨拶

平素は、本学に対して格別のご支援・ご協力を賜り、厚く御礼申し上げます。
2017 年度で3 年目を迎えた「未来への飛躍」基金は、皆様のご理解とご協力を得て順調に推移し、本基金を活用して、本学が全国最上位レベルの大学へと飛躍を遂げるための取組を積極的に展開しているところです。
また、本年度より臨床研究中核病院の承認を目指し、大学及び附属病院が一丸となって取り組むこととしており、その中でも基金の役割はますます重要となっています。
本学が全国的に存在感のある大学として、何十年先も存続していくためには、皆様の基金への継続的なご支援が不可欠です。
皆様には、引き続き本学の「未来への飛躍」にお力添えを賜りますよう、心よりお願い申し上げます。

公立大学法人 奈良県立医科大学
理事長・学長細井 裕司

学長補佐挨拶

平素より、皆様におかれましてはご健勝のこととお慶び申し上げます。
2018年度より学長補佐を拝命しました。「未来への飛躍」基金の更なる発展に尽力する所存ですのでよろしくお願い申し上げます。
本基金は、これまで多方面にわたる教育・研究への支援を行ってきましたが、本年度より、国際水準の臨床研究が可能となるように、臨床研究中核病院承認に向けた取組みに対しても基金を活用することとなりました。
奈良医大を「存在感のある大学」にするため、皆様からの更なるご支援が必要となっています。
皆様からいただいたご寄附は、基金の目的に沿って、本学の発展のため有効に活用させていただきますので、今後とも基金への変わらぬご支援とご協力をお願いいたします。

学長補佐
(「 未来への飛躍」基金担当 )𠮷治 仁志

2017年度実績のご報告

奈良県立医科大学「未来への飛躍」基金は、創設から3 年目を迎え、本学卒業生を始めとする多くの方々からのご支援・ご協力により、総額約5 億円のご寄附をいただいております。
皆様からいただいたご寄附は、基金の目的に沿って、大学・学生への支援等幅広く活用させていただいております。

2017 年度寄附申込額と使途実績

2017年度 基金使途事業内訳
取組名使途事事業概要助成人数支出額
研究の更なる飛躍及びリサーチマインドを醸成するための取組 大学院医学研究科博士課程入学者に対する奨学金 入学者の内希望者に対して大学院入学支援修学資金(入学金相当額)及び基礎医学等研究者確保修学資金(授業料相当額)を貸与 10 5,654,100円
リサーチ・クラークシップへの助成 医学科2年生を対象とした海外及び国内の研究室での実習に対して宿泊費を助成 海外15 3,410,850円
国内16 3,265,909円
研究室配属実習への助成 医学科4年生を対象とした国内の研究室での実習に対して宿泊費を助成 3 452,616円
未来基礎医学教室への支援 リサーチクラークシップをはじめ、学生の自主研究支援を行う講座の活動費を助成 1,901,522円
将来を担う優れた人材育成を目的とした修学環境の向上 医学科臨床実習への助成 医学科6 年生を対象とした病院での臨床実習に対して宿泊費を助成 1 48,000円
看護学科臨床研修(国際看護論Ⅱ)への助成 看護学科4 年生を対象とした海外研修に対して宿泊費を助成 4 61,000円
看護学科学生への支援 看護学科2 年生へ実習用白衣を授与 84 671,700円
ADVANCED CLINICAL ENGLISH Ⅱ(海外留学)への助成 医学科3~6年生、看護学科全学年を対象としたニュージーランドでの海外留学に対して交通費、宿泊費、実習費等を助成 4 680,000円
クラブ活動への助成 旧クラブ棟の改装費用を助成 5,702,400円
新入学生への応援支援 入学式後に医学科・看護学科の新入学生保護者に対し、本学の教育活動等に関し、保護者と本学教職員、同窓会役員等との相互理解を深め、新入学生を応援するための取組への支援 2,271,520円
職員・学生が能力を存分に発揮できる環境整備 職員提案による職場・修学環境の充実への支援 大講堂に多目的トイレを設置…4,3 9 5千円、附属病院内に「奈良県立医科大学のあゆみ」ブースの設置…2 ,7 0 0 千円、学生・教職員に朝食補助券を配付… 5,076千円、図書館に学生貸出用ノートパソコンを購入…2,192千円、国家試験対策模試の実施…1,084千円 15,446,789円
本学と地域社会との繋がりを強化するための取組 健康長寿イベント事業への助成 本学と地域社会との繋がりを強化するための取組事業への助成 1,000,000円
募金活動費 寄附者への顕彰 2,566,187円
43,132,593

※基礎医学系又は社会医学系を主科目として選択した者は返還を免除

活用事業のご報告

「未来への飛躍」基金の使途から一部ご紹介します。

教育・研究への支援

01 リサーチ・クラークシップ

入学後早期から専門領域の研究内容に触れ、高度な実験の進め方を体得することによって、研究活動の意義や研究者の心を理解して科学的探究心を培うことを目的とした、医学科2年生を対象とした国内及び海外の研究室での10週間の実習です。宿泊費の一部を本基金から助成しました。

Boston Children’s Hospitalに研究実習留学しました

2ヶ月半という長い期間基礎研究のみに集中できるというのは、研究医を目指す私としては、非常に魅力的でした。奈良では行うことのできない実験手法を体験し、また、日本のラボとは全く異なり、積極的に何時間でも議論を交わす雰囲気など、研究に対する向き合い方について改めて考えさせられました。
その上、留学をされている日本人の研究者の方たちと交流を深めたことによって、将来に向けて、海外留学という新たな選択肢について考え始めることができました。そして、このような将来へのビジョンを実現させるための第一歩として、残り4年間の勉学に精一杯取り組んでいく覚悟を新たにすることができました。
これらの決意は、海外での実習を行った故に芽生えたものであり、このような貴重な機会をいただき、誠にありがとうございました。

医学科 2年生後藤 彩花さん

University of Colorado Division of Renal diseases & Hypertensionに研究実習留学しました

研究のお話を聞いたりして持っていたイメージが具現化され、研究の大切さを実感することができました。異国の地で学ぶことで最初は感じていた言語の壁も、英語を第一言語として話す人たちを見ていく中で論文を読む際にあたっても違和感を感じにくくなり、より一層医学を学ぶ楽しさを得ることができました。
実際に研究に携わっている方々のお話を聞いたり今回のような経験をさせていただくことで、その研究における行動一つ一つがどれほど人々に明るい未来をもたらすかも実感することができました。今回のこの貴重な経験を生かして将来研究を学ぶことも視野に入れ、より懸命に医学を学んでいきたいと思います。
大変素晴らしく貴重な経験をさせてくださり本当にありがとうございました

医学科 2年生亀井 美奈さん

右より2 人目 … 亀井さん

University of Alberta Hospital Clinical Islet Laboratoryに研究実習留学しました

この度は、リサーチ・クラークシップにご尽力を頂き、本当にありがとうございました。
まだまだ医学の知識も少なく、研究に関する知識も乏しいものですが、この留学研修で非常に多くのものを得ることが出来たと思います。
以前は、研究に対するイメージが漠然としたものでしかありませんでした。しかし、研究室の担当の先生に関してはもちろん、現地で知り合った先生方も含め、研究をしているところ、その手法や考え方、長年の成果、研究に対する熱意や誠意を実際に見て肌で感じることが出来ました。
この経験は間違いなく将来の選択に影響を与え、人生において大きな意味を持つと思います。このリサーチ・クラークシップを来年度以降も続けていただければと思います。

医学科 2年生乃田 颯真さん

早稲田大学先端生命科学センター 井上研究室に研究実習留学しました

リサーチ・クラークシップについて先輩方に話を聞くと、良い経験、貴重な経験を得た、成長することができたという話を聞けましたが、具体的に何を得られるのかは分かりませんでしたし、何らかのものが得られる保証もありませんでした。
そんな中で、実際に参加して何が分かるものであろうかと疑いながらも、積極的に参加しようと決めたことは正しかったと今は思えます。研究を自分の将来の選択肢として考えながらも、漠然としたものに思えていた研究生活や研究職への道というものを、その空気に触れて、自らのものとして感じられるようになったこと、また、研究を具体的な人の集まりやその活動の総体としてとらえられたことは、予想以上の成果であったように思います。

医学科 2年生上野 雄平さん

右より3人目 … 上野さん

奈良先端科学技術大学院大学 バイオサイエンス研究科 分子免疫 制御研究室に研究実習留学しました

このリサーチ・クラークシップカリキュラムで基礎研究に関わって、基礎研究とは論理的かつ批判的、多角的な思考が必要とされる、大変地道で細かい工程の積み重ねであることを感じることができました。
臨床医になりたいと考えている人が多いかもしれませんが、このカリキュラムは、臨床は基礎研究に支えられているということを学生のうちに感じられる良い機会だと思います。
2か月半も基礎研究に関わるのは、人生においてこのカリキュラムの期間だけかもしれません。加えて、研究に触れるだけでなく、奈良医大の外の世界を知るという意味でも有意義なカリキュラムだと感じました。

医学科 2年生坂上 直子さん

理化学研究所 脳科学総合研究センター 精神疾患研究チームに研究実習留学しました

まず初めに、このような実習を「未来への飛躍」基金で行かせていただいたことに関してお礼を申し上げます。まだ臨床の現場についてよく知ったわけではありませんが、研究者としての考え方、研究生活、最先端の研究、そして研究の世界全てに関してじっくり勉強できたことはとても良い経験になりましたし、自分も科学者の一員であるという意識が生まれました。
また、今までは研究に関して興味はあったものの、進んでやりたいと思う程関心を持ってはいませんでしたが、リサーチ・クラークシップを通じて、これからも何らかの形で研究に携わっていきたいと思いました。とてもありがたい経験をさせていただいたと思っています。

医学科 2年生神保 ことりさん

02 看護学科臨床研修(国際看護論Ⅱ)

異文化における看護と医療の実際を海外研修において見学し、人間の健康と病が社会的・文化的に構築されたものであることについて理解を深めることを目的とした看護学科4年生を対象とした海外での研修です。宿泊費の一部を本基金から助成しました。

Chiang Mai Universityに研究実習留学しました

今回はタイでの医療制度や文化、現状などの多くを学習する機会を設けていただきありがとうございました。
現地の先生や看護師に直接話を聞くことができ、貴重な経験をさせていただけたことに感謝しております。
日本とは違う国の医療や文化について、授業だけでは得られなかったことを現地で多く勉強することができたと思います。
後輩の皆さんの中で国際的な分野の医療に興味を持っている方は、国際看護の授業をとってぜひタイでの研修に行くことを勧めます。
私自身は保健師課程を受講していたり、部活動をしていたりと多忙な日々を送っていて迷っていた部分もありましたが、自分自身の視野が広がって受講してよかったと思っています。
自分自身の興味のあることに取り組むことができる機会を与えられているのであれば、学生の間にしかできないことをやっておくことがいいと思います。

看護学科 4年生小島 愛貴さん

右より6人目 … 小島さん

03 海外留学(ADVANCED CLINICAL ENGLISH Ⅱ)

健康や医療等に関する教材を用いて、reading,writing,listening and speakingを総合的に修得するための訓練を行うもので、医学科3~6年生、看護学科を対象としたニュージーランドへの海外留学です。交通費、宿泊費等の一部を本基金から助成しました。

ニュージーランドでFirst Responder の講習を受講しました

2 年生が行くことのできるリサーチ・クラークシップとは全く異なる趣旨の研修であると思います。
手技や知識、海外の医療を学ぶことだけではなく、医療人として求められること、さらには将来のことを考えるきっかけになりました。英語はただのt o o lでしかなく、手技も知識も身についていることが当然です。医師になったときに求められる人材になるためには、受動的ではなく、もっと能動的な態度が必要であると感じました。
ProMedでの研修内容は難しく、後輩の皆さんにとっては低学年のうちはその点が不安を感じるかもしれません。それでも行くべきだと心からお勧めします。
学習レベルや体力が自分のレベルより上にあるからこそ、ついていこうと踏ん張って、たくさんのことを学べるはずです。
日本では体験できません。奈良医大生だからこそ、この研修に参加する機会があるので、ぜひNZで学んできてほしいです。

医学科 4年生藤中 加奈さん

ニュージーランドで研修を受講しました

17日間の研修はどの経験をとっても刺激を受けるものばかりで、本当にこの研修に参加してよかったと思います。
私は海外に行くこと自体が初めてだったので普段の生活だけでも新鮮だったし、その上First aidのトレーニングを受けたり医学生のお話を聞いたりしたのは本当に貴重な経験になったと思います。
英語についても、行く前は会話でさえままならないのに、やっていけるのか不安でしかなかったですが、思い切って行ってみて日に日に英語に慣れていくのが自分でもわかって、もっと自分から話せるようになりたいという気持ちが強くなりました。
しっかりと時間を取って英語を勉強できるのはやはり学生のうちだけのような気がするので、英語に触れる機会を探して、勉強を継続していきたいと思います。

医学科 4年生澤村 千珠さん

右より5人目 … 澤村さん

04 大学院医学研究科博士課程入学者に対する奨学金

優秀な大学院博士課程修了者及び学位取得者を広く社会に、より多く輩出することを目的とした奨学金制度です。入学料及び授業料相当額を本基金から貸与しました。

本基金によるご支援をいただいておりますことに深く感謝申し上げます。誠にありがとうございます。
私は開発途上国の感染症制御に関わる研究に携わっていた経験があり、そこで培った視点を生かした研究をしたいと思い微生物感染症学講座に入学いたしました。現在は、本学の公衆衛生看護学領域で教員をさせていただきながら、同講座に社会人大学院生として所属をさせていただいております。
看護学科の上司には修学や研究活動において多大なる理解と支援をいただくとともに、同講座においては高度な専門知識や技術を持ち合わせた先生方に知識や実験スキル等について丁寧な指導を密にいただき、優れた環境で充実した日々を送っております。
現在は県内において、世界的にも十分解明されていないピロリ菌の感染経路の解明や、臨床検査法の開発に関する研究に取り組んでおります。将来は公衆衛生活動と臨床現場の橋渡しができるような研究者になり、この活動を広く普及して行きたいと考えております。

微生物感染症学講座堀内 沙央里さん

職員提案による職場・修学環境の充実への支援

01 「奈良県立医科大学のあゆみ」ブースの設置

教職員の帰属意識の醸成を図り、また、来訪者等から本学に対する信頼や積極的評価を得ることが期待できることから、附属病院E棟1階中央廊下スロープ横に「奈良県立医科大学のあゆみ」と題して、昭和20年の開学から現在にいたる本学の歴史を社会の歴史と共に展示しています。
機会がありましたら、是非ご覧ください。

02 附属図書館にノートパソコンを追加で設置

試験やレポート提出前に学生の附属図書館のパソコンの貸し出しが重なり、台数が不足することが多くあったため、基金を活用し、館内にノートパソコン20台を追加で購入しました。
台数を増やすことで、利便性が向上し、修学環境の改善に繋がりました。今後も学生にとってより良い環境作りを目指していきます。

パソコン収納ラック

ノートパソコン

クラブ活動への支援

クラブ棟の改装

クラブ活動支援の一環として、老朽化したクラブ棟の改装を行いました。
クラブ活動は、学習意欲の向上や責任感、連帯感の涵養等に役立つものであり、学業と両立する範囲で多くの学生が活動を行っています。
今後も引き続き、学生のクラブ活動への支援を行っていきます。