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細井裕司 教授
公立大学法人奈良県立医科大学耳鼻咽喉・頭頸部外科学講座の
ウェブページにお越しいただきまして有り難うございます。

このウェブページは耳鼻咽喉疾患について
悩みをお持ちの患者さん、
耳鼻咽喉科・頭頸部外科医を目指している研修医、
学生諸君の参考になることを念頭において作成しました。

当講座のアウトラインを述べることにより、
ご挨拶とさせて頂きます。


   沿革


当講座の沿革について、診療は奈良医大附属病院の前身の協同病院が
昭和14年に創設されたときに始まりました。
大学としての耳鼻咽喉・頭頸部外科学講座は、
昭和20年に奈良県立医学専門学校が設立され、
附属病院耳鼻咽喉科の診療科とともに発足しました。
昭和22年、奈良県立医科大学となり、昭和35年に大学院設置が認可され、
大学の発展とともに耳鼻咽喉・頭頸部外科学講座も充実して参りました。
教授については、
初代は倉田包雄教授(昭和20年6月〜11月)
2代目は内海貞夫教授(昭和20年11月〜昭和48年3月)
3代目は山中泰輝教授(昭和48年8月〜昭和55年3月)
4代目は松永喬教授(昭和55年7月〜平成10年3月)
が講座主任を担当され、
現在は5代目の細井裕司(平成11年1月〜現在)が担当しております。


   当講座の使命


大学の使命は、教育、臨床、研究といわれます。
教育には、医学部学生に対する教育と
卒業した後の教育(卒後研修)が含まれますが、
このウェブページが参考になるのは、主として卒後研修についてだろうと思います。
私は、人を育てることについて「人の長所を生かす」ことを
基本理念としたいと思っています。
教育、臨床、研究は相互に深い関係があり独立しているわけではありません。
当講座は臨床の講座ですから、臨床を中心に考えてみます。
臨床とは、「患者さんの病気を医学的に理解し、患者さんの心の問題も含めて
医学的知識・技量をもって診断、治療にあたる」ことだと考えています。
ここで、重要なことが2点あります。
つまり、「医学的に」ということと「心の問題を含めて」ということです。
病気は生物的・物理的なものですが、
その起こる場は人ですからかならず心の問題を含んでいます。
医師として患者さんの心の問題を常に考えておくことは重要です。
しかし、心の問題のみを重視し、医学的視点が欠けると
「医学的根拠もないなぐさめの会話」を患者さんとすることになります。
当講座の卒後研修では、
十分で、高度な医学的知識・技量と思いやりの心をもって
患者さんに接することができる耳鼻科医

を育てたいと考えています。

このことを実現するために研究は大きな役割を果たしています。
研究を行うためには、理路整然とした考え方の組み立てが必要です。
診断・治療に至る正しい論理展開がないと適切な治療は行えません。
研究ができる医師は、診断・治療の論理構成がきっちりとできると考えられ、
また研究の過程は臨床のトレーニングになります。


   臨床―どのような病気を治療しているのか


当講座では、耳鼻咽喉科の病態や疾患はすべて取り扱える体制を整えています。
耳鼻咽喉科はおおざっぱに言えば、「頸部より上(頸部を含む)で、
頭蓋内と眼を除くすべての部位」を守備範囲にしています。
耳、鼻、咽頭、喉頭、頸部(甲状腺を含む)が主な部位となります。
このように多岐にわたるため、
耳鼻咽喉科の中でも特にそれぞれの分野に精通した医師が
診断・治療することがより高い医療を提供できると考え、
特定の疾患に関しては専門外来をおいています。
受診される方や学生諸君の参考となるように、
以下に比較的取り扱い頻度が高い症状と疾患名をあげます。

▼症状
 耳漏、耳痛、耳周囲腫脹、耳閉感、難聴、耳鳴、平衡障害(めまい)
 顔面神経麻痺(顔がまがる)、鼻閉、鼻漏、鼻声、くしゃみ
 鼻出血、嗅覚障害、口内痛、味覚障害、頭頸部腫脹、咽頭痛
 嚥下障害、咽喉頭異物感、いびき、睡眠時無呼吸、呼吸困難

▼疾患
 外耳炎、外耳道湿疹、耳性帯状疱疹、外耳道異物、耳垢栓塞、鼓膜穿孔、急性中耳炎
 滲出性中耳炎、慢性化膿性中耳炎、真珠腫性中耳炎、外リンパ瘻、内耳炎
 良性発作性頭位眩暈症、老人性難聴、突発性難聴、聾(高度難聴)、音響外傷
 顔面神経麻痺(ベル麻痺、ハント症候群など)、鼻前庭炎、鼻出血、鼻骨骨折
 慢性鼻炎、鼻茸、アレルギー性鼻炎、萎縮性鼻炎、急性副鼻腔炎、歯性上顎洞炎
 嗅覚障害、術後性頬部嚢胞、鼻・副鼻腔悪性腫瘍、口内炎、舌炎、口腔底蜂窩識炎
 口腔腫瘍、咽頭炎、咽頭異物、咽喉頭異常感症、睡眠時無呼吸症候群、アデノイド肥大
 急性・慢性扁桃炎、扁桃周囲炎、扁桃周囲腫瘍、咽頭腫瘍、声帯ポリープ、反回神経麻痺
 メニエール病、先天性耳瘻孔、鼻中隔弯曲症、慢性副鼻腔炎、唾石症、声帯結節
 喉頭白板症、頸部リンパ節炎、頸部蜂窩織炎、頸部膿瘍、先天性嚢胞、悪性リンパ腫
 、喉頭癌甲状腺疾患など


   教育―どのように臨床医を育てるのか


先ほど
十分で、高度な医学的知識・技量と思いやりの心をもって
患者さんに接することができる耳鼻科医

を育てたいと書きました。
ここで、もう2項目追加したいと思います。
第1は、社会人として立派な行動がとれる医師ということです。
大学を卒業しますと社会人になるわけで、これは医師も例外ではありません。
医師である前に社会人です。
社会の中で活動しており、多くの人とのつながりの中で生活していることを
よく認識する必要があります。
第2は、向上心のある医師です。
向上には中長期的な向上と短期的な向上があります。
目標を持つことが大切です。

以上はすべての臨床医に当てはまる事項ですが、
実際は個々の医師によって人生設計は異なると思います。
その人の人生設計を後押しするのも大切なことと考えています。
この点につき、入局の勧めの項を見ていただけたら幸いです。

具体的には、以下の指導スタッフによって教育を行っています。

細井裕司(教授、 部長) 聴覚医学、 臨床耳科(中耳炎、聴力改善)
山中敏彰(准教授) 神経耳科(特に平衡機能)、耳科疾患
岡本英之(助教) 鼻科手術、頭頸部腫瘍、気管食道
成尾一彦(助教) 聴覚医学
太田一郎(助教) 頭頸部腫瘍
西村忠己(助教) 聴覚医学、補聴器
清水直樹(助教) 頭頸部腫瘍(甲状腺腫瘍、 唾液腺腫瘍含む)
山下哲範(助教) 聴覚医学
藤田信哉(県立奈良病院部長、臨床教授) 神経耳科(平衡)
戸田雅克(市立奈良病院部長、臨床教授) 頭頸部外科、甲状腺外科
金田宏和(県立三室病院部長、臨床助教授) 鼻アレルギー、レーザー治療


   研究―どのような研究をしているのか


まず、私の研究に対する4つの基本的な考え方を述べたいと思います。
第一は、テーマは臨床に立脚したもので、臨床に還元されるものであること。
第二は、各自の創意工夫を生かすこと。
第三に、学内外の専門機関と積極的に共同研究を行うこと。
幅広い知識量が研究に必要となってきた現在、
一つの研究室でできることには限度があります。
第四に、研究成果は国際的に評価されること。この四つの基本的な考えのもとに、
率先して指導していきたいと考えています。

現在、テーマは難聴、めまい、頭頸部腫瘍を3本柱にしています。
その他に再生医療も行っています。
いずれの分野でも世界のトップを目指しています。
難聴では超音波聴覚というユニークな分野を持っており、
国からの研究費を得て全く聞こえない難聴の方のための超音波補聴器の開発を
産業技術総合研究所や同志社大学、県立広島大学と共同で行っています。
新聞紙上でご覧になった方も多いと思います。
当講座は、沿革で示しますようにめまいの研究では伝統があり、
多くの世界的な業績を排出しています。
頭頸部腫瘍は癌遺伝子の研究などを当大学の生物学講座と共同で行っており、
グリセロールの化学シャペロン効果などの臨床応用で最先端の成果をあげています。
また、産業技術総合研究所や当代学の公衆衛生学講座と共同で
骨の再生医学に取り組んでいます。
詳細は研究の欄で示します。


   おわりに


現在、講座には教授以下スタッフ7名、医員5名、特別研究員1名、大学院生4名がおり、
教育、臨床、研究に励んでいます。
また、奈良県と大阪府の13の病院(ほとんどが公的病院)に常勤医を派遣しています。
当講座の特徴は、個々の長所を生かしながら仲良く切磋琢磨するところだと思います。
このような環境で耳鼻科医としてやっていこうという医学部の卒業生の当講座への参加を大歓迎致します。