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難聴外来

耳科手術

2011年〜2013年の3年間に当院でおこなった耳の手術は314例でした(表1:耳科手術例)。約半数は真珠腫性中耳炎でしたが、当院の特徴として小児滲出性中耳炎に対する鼓膜チューブ挿入術からアブミ骨手術、人工内耳埋込術、さらにメニエール病の外科治療としての内リンパ嚢開放術まで、多岐にわたる手術を施行しております。

表1

表1:耳科手術例

慢性穿孔性中耳炎と手術成績

穿孔性中耳炎は鼓膜に穴があき、耳漏と難聴が生じる疾患です(図1:穿孔性中耳炎の鼓膜所見)。

図1:穿孔性中耳炎の鼓膜所見

図1:穿孔性中耳炎の鼓膜所見

図2:鼓膜閉鎖率

図2:鼓膜閉鎖率

手術治療で耳漏の停止と聴力改善が期待できます。2004年〜2013年に当科で手術加療した慢性穿孔性中耳炎中耳炎128耳の手術成績を示します。完全に鼓膜閉鎖できた症例が105耳(82.0%)でした(図2:鼓膜閉鎖率)。また、日本耳科学会ガイドライン2010年に準拠した聴力成績は、全体として成功率が89耳(71.2%)、術後気骨導差での評価では20dB以内が81耳(69.2%)でした(表2:聴力成績)。詳細な検討では、術前に耳漏が多い症例で成績がやや劣る結果でした。今後は術前における感染コントロールが術後成績の更なる改善に寄与すると考えております。

表2:聴力成績

表2:聴力成績

真珠腫性中耳炎と術式

代表的な疾患である真珠腫性中耳炎につき説明します。真珠腫性中耳炎を放置すると頭蓋内や内耳の障害、つまり、頭痛、髄膜炎、脳膿瘍、めまい、聴力低下、顔面神経麻痺が生じる危険があるため手術が必要です。通常は鼓膜の一部が陥凹し周囲の骨を破壊し進行します(図3:真珠腫性中耳炎の鼓膜所見)。

図3:真珠腫性中耳炎の鼓膜所見

図3:真珠腫性中耳炎の鼓膜所見

真珠腫の完全除去が原則ですが、広範囲進展例や小児例では段階的手術(2回に分けて手術、初回は真珠腫の完全除去、2回目は再発有無のチェックと聴力改善)が必要になることもあります。また、再発の可能性もあり術後も長期にわたる経過観察を行っております。
真珠腫性中耳炎に対する手術は、外耳道後壁保存型と外耳道後壁削除型に大別されます。削除した後壁の再建法には硬組織再建と軟組織再建が存在しますが、当科では前教授・細井が推進した後者、軟素材による外耳道再建をあわせて行う術式を採用してきました。当科で多数施行された本術式を検討し、必要があれば改良しさらに発展させたいと考えております。

真珠腫性中耳炎の病態究明

鼓膜は外耳道と中耳腔を仕切る上皮です。いわば宙に浮いている皮膚である鼓膜が、なぜ中耳腔に陥凹していくのか、現段階では不明です。鼓膜上皮組織にある何らかの遺伝子が、鼻すすり、感染、炎症などにより機能異常を起こすために、鼓膜組織が内方へ陥入していくと考えております。この現象の分子機序を解明することで本症の非外科的治療、遺伝子治療につながると期待しております。