耳鳴・顔面神経外来
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耳鳴・顔面神経外来

耳鳴外来

耳鳴とは

耳鳴とは外部からの音が存在しない状況において音を知覚する現象をいいます。誰もが一度は経験する体の反応ではありますが、発生機序はあきらかされておらず、慢性化したものに対する根治的治療はいまだ確立されておりません。
耳鳴は大きく二つに分類することができます。一つは患者が感じている耳鳴を周囲の人物が聴取できる@他覚的耳鳴と、もう一つは患者さん自身にしか知覚しないA自覚的耳鳴です。耳鳴患者の多くは自覚的耳鳴に分類され、その原因は、聴覚神経路のどこかに発生した以上興奮であると考えられています。また、耳鳴の発生時期によって急性期と慢性期に分けられます。急性期においては、まずは耳鳴の原因となる原疾患の検索を行うことが重要です。突発性難聴や、メニエール病、中耳炎に伴う耳鳴であれば早期に原疾患の治療が必要です。慢性化し何か月も耳鳴が続くようになると耳鳴音に意識が集中して心身ともに疲弊し、ひどい場合は頭痛やうつ症状が出現することがあります。一般的に、内服加療による改善は難しく、カウンセリングや音響療法を組み合わせ、治療を行っていくことになります。

対象となる耳鳴

急性期から慢性期までの耳鳴でお困りになっている患者さん
重症例で近医にて内服加療を数か月間行うも改善せず、音響療法を希望する患者さん
小児から高齢者の耳鳴
他の疾患に付随した耳鳴(突発性難聴に伴うもの等)は原疾患の治療が優先になります

当院にて行っている検査

問診
画像検査(CT/MRI:腫瘍性・血管性病変の有無)
純音聴力検査(難聴のtype鑑別や聴力評価)
連続周波数自記オージオメトリ(急墜型難聴やdip型感音難聴の検出)
語音聴力検査(言葉の聞き取りと後迷路性難聴の評価)
耳音響放射OAE(内耳機能評価)
耳鳴検査
ピッチマッチ検査(耳鳴の周波数(ピッチ)を推定する)
ラウドネスバランス検査(耳鳴の大きさを推定する検査)
マスキング検査

受診に関して

まず当科初診日(月・水・金)に紹介状持参で一般外来に受診ください。問診・診察の後、一般外来担当医にて耳鳴検査(予約検査)に回っていただくか、耳鳴の発生の仕組みの説明の後、一般外来での加療follow upとなるかの判断をさせていただきます。耳鳴外来は第2・第4水曜日の午後からです(完全予約制)が、まずは月・水曜日の山下の診察にて再度診察とVAS・SDS・THI測定等を行い音響療法の適応の判断をさせていただきます。軽症の耳鳴患者さんには耳鳴のメカニズムの説明を行った後、自然環境音などを用いた音響療法を行うように指導しております。中等度から重症の耳鳴であり、サウンドジェネレーター(雑音発生装置)の適応と判断させていただいた患さんは耳鳴外来での治療開始とさせていただいております。

当院での音響療法

サウンドジェネレーターを用いたTRT療法を行っております。
サウンドジェネレーターは貸し出し期間を設けております。
難聴を伴う患者さんには補聴器を用いた音響療法を行います。
耳鳴のメカニズムの説明を行い、カウンセリングを行います。
骨導超音波を用いた新しいマスカー療法の開発を行っております。

骨導超音波を用いたマスカー療法の可能性

写真

我々は、超音波領域の周波数の音でも骨導であれば内耳で知覚され、聴覚経路を経て大脳皮質聴覚野に達し知覚されていることを報告してきた。このことは、骨導超音波は末梢から中枢にいたる経路のいずれにおいても耳鳴に影響を及ばす可能性があることを示唆している。Goldsteinらは2001年に10〜20kHzの骨導音を用いて、耳鳴に対してResidual inhibition(RI)だけでなく、より長いlong-term inhibitionが得られることを報告している。彼らはlong-term inhibitionは脳の可塑性に影響を与え耳鳴治療に有効であると推測している。骨導超音波は特に高周波可聴音を強力にマスキングすることがわかっており、この骨導超音波の特性を考慮すると、骨導超音波を耳鳴のマスカー音として用いることにより、従来使用されている可聴音の帯域雑音を用いた耳鳴マスカー療法よりも効果的な耳鳴治療が可能であることが予測される。1999年にMeikleらによって、耳鳴治療における骨導超音波による耳鳴マスキングが報告されており(Meikle et al.,1999)、米国ではすでに骨導超音波を利用した耳鳴治療器がU.S. Food and Drug Administration(FDA)の承認を得て販売されている。しかし、これまでに骨導超音波の耳鳴に対する抑制効果について検討した報告はほとんどないことから、われわれは耳鳴マスカーとしての骨導超音波音の有用性を検討する実験を行っている。耳鳴患者に対して、骨導超音波および気導可聴音を耳鳴マスカー音として用いて、RIを比較し、骨導超音波を用いたマスカー療法の有用性を検討した。

耳鳴患者22名(男性9名、女性13名、平均57.5±12.5歳)を対象とした。気導可聴音のマスカー音として4kHz帯域雑音と白色雑音の主種類の音源を使用した。骨導超音波のマスカー音は30kHz純音(正弦波)を使用した。先ず各マスカー音について閾値を測定し、次に耳鳴を完全にマスキングできる最小音圧(Minimum Masking Level:MML)を求めた。呈示音圧は可聴音の場合、耳鳴が抑制される最小の音圧であるMMLより10dB大きい音を呈示した。呈示時間は1分間とし、その後に生じる RI出現率とRI持続時間を測定した。骨導超音波のラウドネスは気導可聴音の約1/3であること・骨導超音波は強力に高周波可聴音をマスキングすることを考慮し、30kHz骨導超音波音のマスカー音はMMLより3dB大きい音を呈示し測定した。気導音の4kHz帯域雑音と白色雑音は、ヘッドホンを通じて、各被験者の耳鳴耳側に呈示した。30kHz骨導超音波は、耳鳴耳の乳突部に装着した骨導振動子から呈示した。マスカー音の種類はランダムな順序で呈示した。各マスカー音の呈示終了後から耳鳴の大きさが消失、あるいは減弱する場合、RI陽性とした。また、マスキング後に耳鳴の大きさが不変、あるいは増強する場合はRI陰性とした。各マスカー音の呈示終了後から耳鳴の消失あるいは減弱する時間の持続(RI持続時間)を同時に測定した。すべてのRI検査はVernonの方法に基づき行った(図1)。

気導音4kHz帯域雑音と白色雑音のRI陽性率はそれぞれ81.8%と77.3%であった。一方超音波30kHz音におけるRI陽性率は90.9%であった。図2に各呈示音におけるRI持続時間の分布を示す。骨導超音波でのRI持続時間は平均75.3秒であったのに対して、可聴音の4kHz帯域雑音と白色雑音ではそれぞれ38.0dBと45.8dBであった。Kruskal-Wallis検定を行うことで、超音波音30kHz呈示が可聴音に比べて有意にRI出現時間が長くなることが示された(p<0.05)。
耳鳴患者における骨導超音波・気導可聴音でのRIの比較をおこなったところ、可聴音と同様に骨導超音波においても安定してRIを得ることができた。またRI陽性率は超音波呈示のほうが高く、RI持続時間でも、骨導超音波の方が、可聴音よりも長く、骨導超音波呈示のほうが、耳鳴マスキングに効果的であることが示唆された。骨導超音波を耳鳴マスカー音として用いることにより、従来使用されている可聴音の帯域雑音を用いた耳鳴マスカー療法よりも効果的な耳鳴治療の可能性を示している。

図1

図1

図2

図2

顔面神経外来

ある日突然、顔が曲がった、目を閉じることができない、口から水分が漏れるなどの症状が起きることがあります。これらの症状は顔面神経麻痺により引き起こされ、その多くはBell麻痺と呼ばれる特発性顔面神経麻痺と診断されます。また、顔面神経麻痺の出現前後に、耳や外耳道に水泡が出現し、強い耳の痛みとめまい症状を伴うことがあります。この場合は水痘・帯状疱疹ウィルスによるHunt症候群(ハント症候群)が考えられます。
顔面神経は、脳を出てから側頭骨内・耳下腺内を走行し、枝分かれしながら各顔面筋に分布します。それゆえ側頭骨や耳下腺の腫瘍性病変や炎症性病変によっても引き起こされます。顔面麻痺は、まず原因を調べることが重要で、原因が判明すれば、原因に対する治療を行うと共に麻痺に対する治療を早期に行うことが必要です。Bell麻痺やHunt症候群の急性期には一般的にステロイドによる加療を行います。軽症例においてはステロイドの内服で治癒することが多いですが、中等度から重症例に関しては麻痺の改善が芳しくなく、残念ながら後遺症が残る症例もあります。そのため、症例によってはより高い治癒率を期待し、入院の上ステロイドと抗ウィルス薬の大量点滴療法を行うこともあります。麻痺の程度が重い場合は、エレクトロニューロノグラフィー(ENoG)を行い、予後診断を行います。その結果、麻痺の改善が期待できず、重い後遺症が残ることが予想された場合、顔面神経減荷術という外科的治療を行うこともあります。また、積極的な治療とともに、少しでも後遺症を軽減するために早期よりリハビリ療法を指導し、後遺症が残念ながら残った症例では形成外科と協力し、整容改善手術を行っております。

対象疾患

特発性顔面神経麻痺(Bell麻痺)、Hunt症候群、外傷性顔面神経麻痺、先天性顔面神経麻痺、小児顔面神経麻痺(小児科と連携)、側頭骨内腫瘍、耳下腺腫瘍など

当科で行っている検査

純音聴力検査
アブミ骨筋反射検査
味覚検査
血液検査(ウィルス抗体価測定)
エレクトロニューロノグラフィー(ENoG)
側頭骨、脳MRI・CT