鼻副鼻腔・アレルギー外来
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鼻副鼻腔・アレルギー外来

はじめに

副鼻腔炎(鼻ポリープを含む)、副鼻腔嚢胞、鼻副鼻腔真菌症、アレルギー性鼻炎、腫瘍(主に乳頭腫など良性疾患)、眼窩吹き抜け骨折、など主として手術が必要な症例を対象としています。気管支喘息など内科的合併症を持たれている方や高齢の方でも、鼻閉(鼻づまり)など症状の改善が期待される場合、積極的に手術加療を行っております。大多数の症例は鼻内視鏡手術を行い患者さんにやさしい医療を心がけております。

当科における鼻副鼻腔手術

2011年〜2013年の3年間に当院でおこなった鼻副鼻腔手術は226例でした(表1:鼻副鼻腔手術件数)。大学病院という性格上、合併症のない若年者での副鼻腔炎症例に比べ高齢者の鼻副鼻腔真菌症や腫瘍(主として乳頭腫など良性腫瘍)に対する内視鏡手術が相対的に増加しております。また、悪性腫瘍に対する内視鏡手術、再発性あるいは難治性前頭洞炎に対しての前頭洞単洞化手術(Modified endoscopic Lothrop procedure)なども施行しております。通常の鼻内視鏡手術では入院期間は1週間前後です。

表1 鼻副鼻腔手術件数

表1 鼻副鼻腔手術件数

ナビゲーションなど手術支援器機

当科では図1のように平成20年より手術用ナビゲーションを導入し、再発例や難治例などを中心にナビゲーション下に手術を行っております。平成26年4月に耳鼻咽喉科領域に特化した手術用ナビゲーションを導入し以後ほぼ全例に使用しております。ナビゲーションはあくまで手術支援器機ですが、手術器具の先端が患者さんの体内のどの部位にあるかをリアルタイムにCT上に表示できるシステムです。鼻副鼻腔の上方は頭蓋底、側方は眼窩が存在しそれらの副損傷は極めて重大です。このナビゲーションシステムを使用すればそれらの副損傷を未然に防止してより安全に手術を行うことが可能です。ナビゲーション以外に内視鏡レンズ先端洗浄システム、術中洗浄システム(ハイドロデブリッターシステム)も常備しており必要な症例には有効活用しております。

図1:手術用ナビゲーション

図1:手術用ナビゲーション

鼻副鼻腔乳頭腫治療成績

図2:乳頭腫の内視鏡所見

図2:乳頭腫の内視鏡所見

鼻副鼻腔乳頭腫は組織学的には良性ですが、@扁平上皮癌の合併(5-15%、報告により異なる)、A再発しやすいB破壊性(良性であってもときに眼窩や頭蓋内に浸潤する)、という性格を有し初回治療での正確な診断と完全切除が大切です。視診上は副鼻腔炎の際にみられる鼻ポリープ(鼻茸)と類似しており生検ではじめて乳頭腫と診断できることもあります(図2:乳頭腫の内視鏡所見)。

2007年7月〜2013年6月に手術加療し1年以上経過観察できた鼻副鼻腔乳頭腫症例は37症例(男性32例、女性5例)でした。病変の広がりをKrouse分類(表2:Krouse分類)で評価するとT2が22例、T3が12例と両者で92%を占めておりました(図3:乳頭腫のT分類)。手術法では、鼻内視鏡単独例が29例(78.4%)でそのうち2例は内視鏡下上顎洞内側切除術(Endoscopic medial maxillectomy: EMM)でした。内視鏡的アプローチに加えて、犬歯窩(上口唇の内側)より粘膜切開あるいは顔面外切開を行ったものが残り2割弱でした。根治治療を目指した35症例のうち再発なしが30例(85.7%)、再発ありが5例(14.3%)にみられました(図4:乳頭腫の再発率)。再発例を検討すると、術前の乳頭腫と診断できなかった症例や術中迅速病理非施行例でした。その結果より、副鼻腔炎症例で乳頭腫合併の疑いがあれば積極的に術前組織検査ならびに念入りな画像検査を行っております。また、手術の際には術中迅速病理検査を行い完全切除の確認に努めております。

表2 Krouse分類

表2 Krouse分類

図3:乳頭腫のT分類

図3:乳頭腫のT分類

図4:乳頭腫の再発率

図4:乳頭腫の再発率

今後の展望

気管支喘息を合併し嗅覚低下をきたす好酸球性副鼻腔炎は再発しやすく難治性です。手術のみならず術後治療も大切で、患者さんのQOL維持に寄与したいと考えております。内視鏡を取り巻く手術器機は今後も目覚ましい進歩が期待され、腫瘍性病変の治療などその適応拡大も予想されます。最新の知識・技術の習得にも努め少しでも患者さんにより負担の少ない治療を提供できることを目指しております。