奈良県立医科大学_開学80周年及び畝傍山キャンパスオープン記念
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大学の組織HPhttps://1ana.naramed-u.ac.jp/ストレスというキーワードを掲げておりますが、より細胞レベルでの研究に重点を置いております。分子・細胞から生体への意義を見据え、これまで当講座で手掛けてきた研究のさらなる発展に加え、神経や血管、骨格筋などの器官において疾患に関連するイオンチャネルやシグナル関連分子の細胞内での動態や意義を見出し、将来の分子標的として世に送り出すことを目指し研究を進めていけるよう取り組んでいます。 一方で、ホルマリンなどの化学物質への対応の厳格化などを踏まえ、令和6年度から人体解剖実習室が改良され、より良い環境で教育を行う環境が整ってきました。崇高な倫理観を持った医師を育てるために解剖学教育もこれまで以上に精力的に取り組みたいと思います。同時に、医療過誤の防止や若手医師の教育などに向けて、全国的な広がりを見せるご献体での手術手技研修の導入を進め大学の医療安全・技術の向上にも貢献していきたいと考えています。HPhttp://www.naramed-u.ac.jp/~2ana/らの研究成果は、神経科学や医学の発展に寄与し、将来的な治療法の開発や疾患予防に向けた基盤を築くものと期待されています。人事面では専任教員として教授:和中明生、准教授:辰巳晃子と講師:奥田洋明(2016年に金沢大学機能解剖学講座准教授として転出)、田中達英(2016年から現在、2025年4月から国立長寿医療研究センター研究所部長として転出予定)、助教:竹村晶子(2021年に名古屋市立大学に特任助教として転出)、石西綾美(2021年から2024年)、教務職員:作村涼子が教育と研究に従事してきました。和中は2024年3月末をもって定年退職し、後任として金沢大学 医薬保健研究域 医学系 神経解剖学講座 准教授であった服部剛志(はっとりつよし)氏が新教授として選任され2025年4月からが正式に教授として着任予定です。これらの人事異動を経て、解剖学第二講座は引き続き、基礎医学の教育研究の立場から奈良県立医科大学の発展に寄与していきます。 23解剖学第一同門会(令和6年3月)和中明生教授 退任記念祝賀会 菊水楼にて文責:和中 明生解剖学第一講座 平成21年8月から教室を運営してきた西真弓教授(現・名誉教授)は神経、特に神経内分泌を専門とし、胎児期や幼少期のストレス応答が神経系の形態・機能に及ぼす影響を組織化学的手法や行動解析を中心としたさまざまな手法で研究してきました。令和3年には、日本神経内分泌学会が西教授を会長として開催され、奈良の地から全国へ向け広く情報発信を行いました。西教授の着任後の教室のスタッフは西教授のほか、秦野修講師(令和6年3月定年退職)、堀井謹子講師、東超学内講師、奥田浩司技師、森分結実教務職員で構成されました。上記の研究課題の遂行と共に、医学教育の基幹科目として肉眼解剖学(神経・感覚器を除く)・組織学総論の諸講義に加え、頭頚部と背部を除く人体解剖実習を担当してきました。 西教授が令和5年3月に定年退職し、同年8月に後任として井上浩一教授が名古屋市立大学から着任しました。井上教授も研究に解剖学第二講座の10年のあゆみ 奈良県立医科大学の解剖学第二講座(機能形態学講座)は、2015年から2025年にかけて、教育面では学部2年次の組織学、人体解剖学の講義実習を担当し、これに加えて2年次後期のリサーチクラークシップで毎年1〜3名の学生を迎えて基礎研究のイントロダクションを行ってきました。大学院教育としてはこの間、主科目として2名、副科目として10名以上の院生の学位指導を行ってきております。研究面では脳内グリア細胞の生理的機能および病態への関与、ならびに触覚や痛みの伝達機構の解明を主な研究テーマとして取り組んできました。非神経細胞、特にアストロサイトの役割に注目し、神経系の恒常性維持や疾患発症におけるこれらの細胞の機能を詳細に研究しております。また、触覚や痛みの伝達機構に関する研究では、末梢における神経―マクロファージ相互作用のメカニズムを発見し、痛みの感受性や慢性痛の発症メカニズムに関する新たな知見を提供しました。これ医学科:基礎医学教育 解剖学第一教授/井上 浩一医学科:基礎医学教育 解剖学第二教授/服部 剛志

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