奈良県立医科大学_開学80周年及び畝傍山キャンパスオープン記念
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大学の組織HPhttps://1phy.naramed-u.ac.jp/ 研究では、視覚を適切に使うために重要な「視線保持」を行うための神経メカニズムの解明を主な研究テーマとして取り組んでいます。特筆すべき研究成果として、(1)水平性と垂直性での視線保持のメカニズムが異なること、(2)視線保持に関与する脳幹領域と小脳との新規の神経連絡様式、を世界に先駆けて明らかにしたことが挙げられます。これらの研究成果は米国のオンライン雑誌で掲載され、注目論文として紹介されました。また、眞部准教授の嗅覚と行動を関連づけた独自の研究も順調に進んでおり、今後の成果が期待されます。共同研究は、学内では精神医学講座、脳神経外科学講座、耳鼻咽喉・頭頚部外科学講座、未来基礎医学講座と、学外では生理学研究所の吉村研、京都大学動物実験施設、三重大学医学部の竹本研と行っており、合わせて15本の論文発表を行いました。今後はさらに研究室を発展させ、本講座が奈良医大の誇る講座の1つになるように教室員一同努力してまいります。HPhttps://2phy.naramed-u.ac.jp種を超えた普遍的な生命現象を探求しようとしています。この11年の間に、学内の他教室との共同研究も増え、病気を見据えた臨床系の研究に関わる機会もいただいております。 教育面では、第2学年の生理学IIを担当し、循環、消化、呼吸、体液調節といった、植物性機能に関する授業を行なっています。一見、研究テーマと乖離しているように見えるかもしれませんが、私どもの中では繋がっており、医学に対する基礎的な視点を学生へ伝えたく思っております。学部学生による自主研究も活発で、筆頭著者としての論文発表や、学会での受賞もございます。学部生の頃から研究に触れる機会を提供することで、幅広い視野を持った医師・医学研究者を育成したいと考えています。 教室の体制も整い、あとは成果を世に発信するのみと考えています。教室員一同、より一層、研鑽を重ねて参ります。24生理学第一講座 集合写真自主研究の医学部生の卒業祝い 本講座は昨年10月で現教授の齋藤康彦が講座を主催してから10周年を迎えました。齋藤が赴任した当初は先代教授から引き継いだ教員による構成でしたが、その教員の退職に伴い2019年に杉村岳俊が助教として加わり、2023年には眞部寛之と上田壮志がそれぞれ准教授と助教として本講座に加わり新たなスタートを切りました。 教育では、主に医学部2年生の生理学Iを担当し、神経・脳生理学に関する講義と実習を行いました。講義では、生理学の基本に加え最新の知見を織り交ぜて、理解に基づいた知識を身に付けるよう指導しました。さらに、計算論的神経科学の理解を深めるために、2016年からATR脳情報通信総合研究所の川人光男先生に、2020年から同研究所の田中沙織先生に非常勤講師として講義を担当していただきました。実習では様々な技術を用いた多岐にわたる内容により学生に興味を持たせ、レポート作成を介して理系作文能力の向上に努めました。また、看護学科の講義も担当し、医学科大学院生の教育にも尽力しました。 本講座は、平成25年1月に、前任の高木都教授から堀江恭二が引き継ぎました。現在のスタッフは、坂野公彦(講師)、吉田純子(助教)、梶谷卓也(研究助教)、三澤裕美(教務職員)です。 研究面では、ES/iPS細胞を対象にしたゲノム改変技術を多用しています。堀江は本学着任前に、遺伝子の両アレルを網羅的に破壊する手法を開発しました。本学では、この手法を用いて、特にES/iPS細胞の多能性制御機構の解明に力を入れています。吉田助教は、この技術に加えて、1細胞遺伝子発現解析やゲノム3次元構造解析といった最新技術を積極的に取り入れ、新規の多能性制御機構を明らかにしつつあります。坂野講師は、血管系疾患の病態モデルを、iPS細胞のゲノム改変と分化誘導、さらにはマイクロ流路デバイスを用いて構築し、AMEDの大型研究費も獲得しています。4月から着任した梶谷研究助教は、これまで酵母を対象として明らかにした遺伝子発現調節機構を、本講座が得意とするES/iPS細胞を用いた実験系で検証し、医学科:基礎医学教育 生理学第一教授/齋藤 康彦医学科:基礎医学教育 生理学第二教授/堀江 恭二

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