大学の組織HPhttps://sites.google.com/view/amsth-naramed細胞療法の創出、と、②炎症性疾患と血液凝固に関する研究、に大別されます。①では、血友病Aの根治を目指した新規細胞治療法の開発に取り組んでおり、凝固第VIII因子の生理的産生責任細胞である肝類洞内皮細胞をヒトiPS細胞から分化誘導して作製し、それを細胞シート等の3次元組織体にした上で移植することを計画しております。それにより生着した移植細胞から恒常的に血中に第VIII因子が供給されることで血友病A病態を改善できることを期待します。第VIII因子産生能を有する肝類洞内皮細胞の分化誘導には既に成功しており、現在、マウスを用いた移植実験および治療効果の評価を誠意進めている段階にあります。②では、炎症と凝固の密な関連が近年明らかとされているのを受け、各種の炎症性疾患(主に肺、腎臓、肝臓、膵臓)の病態モデルを、各種の凝固因子欠損マウスを用いて作製してその病態を観察することで、病態への各因子の関与を探求し、その知見を基盤とした新規治療法の確立を目指しています。HPhttps://naramed-cardiology.com/ 研究に関しては教室全体としての取り組みとして、1)心腎連関の分子機序の解明、2)心不全、心筋□塞のレジストリー研究、3)心筋疾患の分子メカニズムと遺伝子解析、4)心不全における神経体液性因子の基礎研究、5)光干渉断層法を用いた冠動脈疾患進展機序の解明、6)CT、MRIを用いた循環器疾患の画像診断などを主なテーマとして基礎的、臨床的研究を続け数多くの研究成果をTop journalに掲載し世界へ発信してきた。 教室主催の学会としては2015年に第32回国際心臓研究学会日本部会総会、2018年に第4回日本心筋症研究会と第2回日本循環器学会基礎研究フォーラム、2020年に第3回日本腫瘍循環器学会学術集会、2021年に第85回日本循環器学会学術集会/World Congress of Cardiology、2022年に第26回日本心不全学会学術集会を開催した。今後も教室員一同が前向き、建設的なマインドで診療、研究、教育に取り組み、奈良県の循環器医療の更なる充実に貢献し、ひいては日本、世界の医療に貢献することを目標に進んで参りたい。30週令ラボミーティングの様子奈良県立医科大学 血栓止血先端医学講座 当講座は、本学の重点研究課題の推進を目的に2018年に開設された血栓止血研究センター(センター長:嶋緑倫先生)を構成する複数の講座の1つであり、大学の基礎医学講座の1つとして2019年4月に開設されました。開設当時は、准教授(辰巳公平)と助教(三谷成二)の2名での研究室の立ち上げから始まりましたが、2025年2月現在は、それに加えて博士研究員2名(小野寺悠、野田正志)、大学院生2名(細田千裕、川﨑亮平)、研究補助員1名(高林葉子)、医科学研究生1名(吉田里咲)、が在籍しており、計8名の講座メンバーで日々研究活動に邁進しております。当講座では血栓止血学を基本軸として、種々の疾患の未知の分子病態機序の解明や新規治療法の確立を目指しており、各種遺伝子欠損マウスや培養細胞を用いた基礎研究から、臨床検体を使用した臨床研究まで、幅広いテーマで研究を行っております。 具体的な研究内容は大きく、①血友病A治癒を目指したユニバーサル 当教室の前身にあたる第1内科学教室は、奈良県立医科大学専門学校の設立時に唯一の内科学講座として開講された最も古い伝統を持つ教室の一つである。2018年1月に臓器別再編により腎臓内科学教室とわかれ斎藤能彦教授が初代教授として就任され教室を牽引されてきた。2023年7月に彦惣俊吾が第2代教授として着任し現在に至っている。 診療に関しては今までと同様に奈良県の最終ディフェンスラインとしての機能を維持すべく“断らない医療”を継続し急性心筋□塞、致死性不整脈、難治性心不全などを積極的に受け入れてきた。カテーテル治療件数も虚血性心疾患に対しては年間約400〜500例、不整脈に対しても年間約200例と高い実施件数を維持してきた。最近では大動脈弁狭窄症に対する経カテーテル大動脈弁留置術や心房細動患者に対する経皮的左心耳閉鎖術などの最新治療を臨床に導入し、良好な治療成績が得られている。また、奈良県内で発生した循環器救急患者を専門治療が実施できる病院へすみやかに搬送できる胸痛搬送ルールを作成し死亡率改善に貢献してきた。医学科:基礎医学教育 血栓止血先端医学准教授/辰巳 公平医学科:臨床医学教育 循環器内科学教授/彦惣 俊吾
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