奈良県立医科大学_開学80周年及び畝傍山キャンパスオープン記念
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大学の組織HPhttps://derm.naramed-u.ac.jp/調査を進めるとともに、国内外で経験的に行われてきた治療法の有用性を評価し、診療ガイドラインの策定・改定を行ってきた。なかでも、重症薬疹の一つである薬剤性過敏症症候群(DIHS)の診断は、発症早期には困難なことが多く、また、その経過も比較的軽症なものから生命を脅かすものまで多岐にわたる。そのため、DIHSの早期診断および予後予測のためのバイオマーカー開発が喫緊の課題とされてきたが、当教室の長年の研究成果により、DIHSの診断および予後予測のためのバイオマーカーとしてTARCの有用性が実証された。その結果、2024年12月より、DIHSが疑われる患者に対する鑑別診断の補助としてTARC測定が保険適用となるなど、算定要件の一部が変更された。【主な主催学会】2018年 第48回日本皮膚免疫アレルギー学会総会・学術大会2021年 第72回日本皮膚科学会中部支部学術大会2024年 第45回水疱症研究会、第20回加齢皮膚医学研究会医工連携を基軸に経産省や文科省の研究助成を受けた膀胱癌の光力学診断は、研究のみならず治験を主導し、2017年に術中診断システムとして保険適応を取得した。前立腺癌では2004年に近畿地方で最初に導入した小線源療法が、2024年末で2075例の治療実績を到達し、前立腺針生検にはMRI-US融合生検を導入した。排尿障害では、夜間頻尿の疫学・臨床研究に先進的に取り組み、指定難病である間質性膀胱炎では診断に関する特許を取得し、バイオマーカの開発を進めてきた。腎移植は2024年12月で326件になり、小児領域では腎盂形成術や膀胱尿管逆流症に対する腹腔鏡下手術など高難度医療を推進してきた。今後もより良い泌尿器科の診療、研究、教育に医局員一同で取り組んでいきたい。39第72回日本皮膚科学会中部支部学術大会(2021年11月21日 於:奈良県コンベンションセンター)奈良県立医科大学 田中宣道教授就任ならびに前立腺小線源治療講座開講祝賀会(2024年3月17日 JWマリオット・ホテル奈良)(主な主催学会)2016年:第29回日本レーザー医学会関西地方会、2021年:第31回日本性機能学会中部総会、2022年:第5回泌尿器光力学研究会学術集会、2023年:第73回日本泌尿器科学会中部総会 2015年の開学70周年から今年の開学80周年までの10年間で、当教室同門会員は52名増加し、185名となった。浅田秀夫教授と桑原理充病院教授がそれぞれ中心となり、皮膚科および形成外科分野において学会認定研修施設として専門医の育成に力を注いできた。2025年3月には浅田秀夫教授が退任し、名誉教授となられた。浅田教授は2002年4月に助教授として赴任され、2007年5月から宮川幸子教授の後任として第四代目教授に就任された。赴任以来今日までの長きにわたり、教育・研究・診療に尽力されてきた。また、奈良医大卒の新熊悟先生が、小豆澤宏明先生の後任として2020年に准教授として当教室に赴任し、教室の長年の研究テーマである薬疹やウイルス感染症に加え、遺伝性皮膚疾患の診療・研究体制の充実が図られている。 2020年からの3年間、当教室は厚生労働省の「重症多形滲出性紅斑に関する調査研究班」(代表:浅田教授)の事務局を務め、教室員が一丸となって重症薬疹の治療法、予後、合併症・後遺症に関する疫学 2015年の開学70周年からこの10年間に31名が入局し、同門会員は204名となった。泌尿器腫瘍、排尿障害、腎不全・移植、小児泌尿器科を柱として臨床•研究を推進してきた。2019年3月には吉田克法透析部病院教授が退任、同年5月に後任として米田龍生が就任した。2020年4月には寄附講座として前立腺小線源治療講座が開設され、田中宣道が寄附講座教授に就任した(写真:コロナ禍のため4年後に開催)。そして2023年11月には当講座開講60周年を迎えた。この10年間の泌尿器科診療の最も大きな変革は、ロボット支援下手術と免疫チェックポイント阻害薬や抗体薬物複合体などの新たな癌治療の台頭である。2016年に導入したロボット支援下手術は、前立腺癌をはじめ腎癌、膀胱癌、腎盂尿管癌、副腎腫瘍の摘出術のみならず、骨盤臓器脱に対する仙骨膣固定術や腎盂形成術にも適応が拡大し、2024年までに1080件の手術を行った。新規治療については、前立腺癌、腎癌、尿路上皮癌を中心に多数の治験・臨床研究に参加した。2005年に教室に導入以降、医学科:臨床医学教育 皮膚科学前教授/浅田 秀夫医学科:臨床医学教育 泌尿器科学教授/藤本 清秀

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