附属病院の組織HPhttps://hospital.naramed-u.ac.jp/department/tamai.html外傷にも対応できる強みがあります。当センターでは、切断指、開放骨折、小児骨折、神経・血管損傷などの救急外傷、骨髄炎、偽関節、変形癒合、神経麻痺などの外傷後遺症を中心に治療を行っていますが、近年では重篤な内科合併症を有する高齢者の骨折治療の依頼が急増しています。また、2020年〜2023年のコロナ禍では、COVID-19陽性患者の整形外傷の手術依頼が県内外から殺到し、陰圧手術室で多くの手術を実施しました。奈良県におけるCOVID-19陽性患者の手術第1例目も当センターで行っております。新型コロナによるパンデミックは予想していなかった事態ですが、2016年に開設された当センターが、整形外傷において、当院の理念である奈良県民を守る最終ディフェンスラインとして機能出来たことは幸いでした。検査に対応しています。 放射線科医の重要な役割は、多数の検査に対する読影レポート作成です。奈良医大では領域別に担当を分け、専門性の高い画像診断を提供してきました。近年は画像診断を目指す若手医師が増加し、自主的な勉強会も活発に行われています。働き方改革による時間的制約はあるものの、臨床カンファレンスや学会・研究活動への積極的参加も見られ、臨床現場への知識還元と指導的人材の育成が期待されています。 超音波検査や消化管透視検査といった手技を要する検査は全国的に医師離れが進んでいますが、これらはAIに代替することが難しく、放射線科医が継続的に携わるべき重要な領域として取り組んでいます。 2023年3月には平井都始子先生が病院教授を定年退職され、後任に丸上永晃先生が就任しました。開学80周年を迎え、新専門医制度、働き方改革、AIの発展など医療環境が大きく変化する中、総合画像診断センターは柔軟に対応し、新たな分野にも積極的に挑戦し、さらなる発展を目指しています。64玉井進記念四肢外傷センター設立記念シンポジウム開設時のセンター 日本の整形外科学講座の多くは、長年に渡り外傷には注力せず、慢性疾患の治療、研究、教育に力を注いで来ました。しかし、独立採算制が求められる国公立大学の独法化と超高齢化社会を迎えた日本において、その弊害が全国の大学病院で出てきています。65歳以上の高齢者に実施される整形外科手術の約半数(80歳以上では約7割)は骨粗鬆症に起因する骨折手術となり、大学病院においても高齢者の外傷治療は避けて通れなくなりました。また、四肢外傷には、血管・神経損傷の合併も少なくありません。多くの大学病院では経営改善のために救急医療を始めても、これらの整形外傷に対応しきれていません。一方、本学附属病院では、2015年に一次・二次救急患者を受け入れるERが始まり、2016年には玉井進記念四肢外傷センターが開設されました(写真1)。本学整形外科学講座は、1960年代に玉井進名誉教授が世界に先駆けて開発したマイクロサージャリーの技術を受け継いでいるため、血管・神経損傷を伴うどのような整形総合画像診断センター開設からのあゆみ 奈良県立医科大学付属病院の総合画像診断センターは、吉川公彦病院長や平井都始子先生らの尽力により2016年4月に開設されました。放射線科医が超音波、CT、MRI、RIなど多様な画像診断モダリティを一元管理し、患者に最適な画像診断を提供することを目指しています。 センターの検査数は年々増加しており、2024年度には約43,000件のCT検査と約15,000件のMR検査が実施され、全国の中でもトップクラスの実績を誇ります。2024年10月からは画像診断管理加算4を取得し、より高度な検査管理や安全管理が求められるようになりました。これらの検査を安全かつ円滑に実施するためには、医師だけでなく受付、クラーク、看護師、放射線技師など多くのスタッフの協力が不可欠です。働き方改革や医師のタスクシフトにより、看護師や放射線技師による注射業務の規制緩和が進み、造影検査がより円滑に実施できるようになりました。超音波部門でも、臨床検査技師が専門性を活かし、増加する特殊な超音波玉井進記念四肢外傷センターセンター長/吉川 公彦総合画像診断センターセンター長/吉川 公彦
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