附属病院の組織附属病院の組織HPhttps://naramed-icats.com/も研究者目線で支援をしています。 この10年間の活動により、特定臨床研究数も年間10件、医師主導治験も1〜2件を開始できるようになり、臨床研究中核病院の承認要件に近づいてきました。特に、人工赤血球の医師主導治験は、実施が困難なPhase1bの健常者を対象とした早期臨床試験です。本学の研究実施能力はこの10年間で旧帝大にも肉薄するほど大きく進化しました。 当センターでは臨床研究に不可欠な統計相談や支援はもちろん研究者が忘れがちな知財に関する相談や企業折衝などの支援も積極的に行っております。さらに臨床研究のネットワーク構想を立ち上げ、NaraNetとして奈良県全体をカバーできる研究体制を整備中です。 我々は奈良医大の研究力向上のため、臨床研究や企業治験のみならず、医師主導治験や幅広い臨床研究の運営・実施に係わるすべての能力を高め、さらに質の高い臨床研究が行えるよう目指して参ります。してハイリスクの患者さんに対しても難易度の高いテーラーメイドの医療を提供することが求められます。そのため説明・同意取得はとても重要で、2022年にはインフォームコンセントのマニュアルを整備し、さらに医療行為に伴う合併症も十分検証してフィードバックができるように、全診療科に合併症報告をお願いしました。こうした変革は医療安全の主体は現場であることを強調したうえで、現場と医療安全推進部門との距離を縮めて機能的に活動したいという思いからです。2023年11月には医療安全推進のさらなる充実を目的とした組織改編を行い、「医療安全推進室」は柱である医療安全推進活動に加えて、臨床倫理、高難度新規医療技術評価及び医療の質の可視化を業務に加えて、「医療の質・安全管理センター」として再スタートしました。今後さらに現場との連携を強化して医療の質の向上をめざしてまいります。71畝傍山と新キャンパスを背景に四条キャンパスより撮影 奈良県立医科大学開学80周年にあたり、これまで本学を支え、発展させて頂いた諸先輩方に対し深く感謝申し上げます。 「奈良県立医科大学附属病院 臨床研究センター」は2015年7月1日に開設されました。細井学長が「奈良医大を臨床研究中核病院にする」という壮大な目標を立てられ、それを実現するために当時京都大学で中核病院事業立ち上げに係わった私にお声掛け頂きました。開設当初は私を含めて二人の小さい組織でした。2015年10月1日に治験センターと統合して現在の形になり、その後、データマネジャー、統計家、知財担当者、事務局担当者と新たな教職員が加わったことで、Target-UA試験をはじめ全国規模の臨床研究を複数立ち上げる事が可能となりました。 現在46名のメンバーがおります。我々の業務は研究相談にはじまり、プロトコル作成から申請支援、事務局支援、データ管理支援、統計解析支援などがあります。さらに、CRCによる治験支援や外部対応に関して 2016年に医療安全に関する特定機能病院の承認要件が見直され、より一層の医療安全管理体制を確保することが求められました。具体的には①事故を防ぐ体制の確保②事故等の報告の義務化③診療録等の管理の強化及び高難度新規医療技術の導入プロセスを明確にすることなどです。このことは医療の質の担保する重要性が示されています。当院では2006年に医療安全推進室を設置し院内の医療安全推進活動を進めてきました。2019年頃から医療安全管理委員会運営方法や医療安全管理マニュアルの見直しに着手し、リスクマネージャー活動の活性化も進めてきました。当院では現在院内発生のインシデントに関して年間4500件報告があります。発生したインシデントを病院が迅速かつ正確に対応できるようにインシデント・ホットラインを2021年4月から開設し一年を通して24時間対応することにしました。 特定機能病院である当院は“県医療の最終ディフェンスライン”と臨床研究センターセンター長/笠原 正登医療の質・安全管理センターセンター長/辰巳 満俊
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