奈良県立医科大学_開学80周年及び畝傍山キャンパスオープン記念
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法人の組織2024年4月25-26日 2000名以上が参加登録、奈良県コンベンションセンターで開催された第67回日本手外科学会 閉会式後のグループ集合写真手の外科学講座・10年間のあゆみ 整形外科学教室の手の外科・マイクロサージャリー診療班では、1964年に玉井進名誉教授が「切断肢再接着に関する実験外科的研究」で学位を取得されて以来、数多くの基礎研究を行ってきました。この10年間で海外2名を含む20名の大学院生が学位を取得しました。 2015年7月に面川庄平が手の外科講座教授に就任しました。研究テーマとして、手関節動態CTを用いたIn-vivo3次元解析、超音波装置による末梢神経動態解析、新鮮屍体を用いた四肢の微細血管解剖や手関節・肘関節のバイオメカニクス研究を継続して行ってきました。おもな受賞歴として、日本手外科学会「津下健哉賞」を北條潤也先生(第1回)、速水直生先生(第2回)、萩原祐介先生(第3回)、仲西康顕先生(第4回)が受賞され、大西正展先生がマイクロサージャリー学会最優秀演題賞(2016年)、藤谷良太郎先生がASSH Best 5 Poster Award(2019年)、仲西康顕先生(2014年)山藤滋先生(2019年)がJOS Best Paper Awardを 奈良県立医科大学泌尿器科では放射線治療科との共同のもと、2004年7月に組織内照射である低線量率小線源治療を近畿地方で最初に開始しました。その後、症例を積み重ね2024年7月に20年目を迎えました。これまでに2000例を超える治療を行い、本邦における本治療の基幹施設としての地位を築いております。また、2018年からは超高リスク前立腺癌に対する高線量率小線源治療を開始し2024年末までに138例の治療を行っています。 このような歴史の中、前立腺小線源治療の普及と啓蒙、後継者の育成、さらに前立腺癌の診断・治療に関する基礎および臨床研究を目的に2020年4月、前立腺小線源治療講座が開設されました。現在、田中宣道(専任教授)、浅川勇雄准教授(放射線治療科准教授と併任)、中井 靖講師(泌尿器科講師と併任)の3人が教員として在籍しており、博士課程大学院に2名の大学院生の指導も行っております。また、2022年7月に我々が取り組んできた前立腺小線源治療に対して奈良県立医科大学の外科マスターの称号が付与されました。われわれがチームとして築き上げてきた受賞されました。また、河村健二先生がアメリカ手外科学会によるKleinert Fellow(2018年)、JSSH-ASSH Traveling Fellow(2020年)、長谷川英雄先生が日仏整形外科学会交換研修(2021年)、大西正展先生がJSSH-HKSSSH Traveling Fellow(2024年)に選出されました。 主催学会として、矢島弘嗣先生が第41回日本骨折治療学会(2015年)、第32回日本肘関節学会(2020年)を開催されました。2024年4月に第67回日本手外科学会を面川庄平が開催いたしました。日本手外科学会は第24回を増原建二先生、第41回を玉井進先生が会長を務められ、奈良医大として3回目の開催となりました。さらに、11月に村田景一先生が第51回日本マイクロサージャリー学会を開催されました。 この10年間で、24名の海外留学生を受け入れてまいりました。このような活発な国際交流と手の外科・マイクロサージャリーを追求する若手医師のエネルギーを結集し、次の10年間も世界に情報発信できるよう努めてまいります。本治療のノウハウを伝えていくことを目的として、院外の施設の先生方への技術指導・啓蒙活動も行っております。 前立腺癌は日本人男性において年間9万人以上の新規症例が発症しており、男性において罹患率1位の癌です。低リスク〜中間リスクにおける根治治療の成績は手術、放射線治療ともに良好ですが、高リスク以上の治療成績は手術単独、放射線単独治療では芳しくないのが現状です。奈良医大では本治療開始当初より、小線源治療と外部照射および抗男性ホルモン治療を組み合わせたTrimodality治療を積極的に取り組んできました。本治療の長期成績は10年非再発率が90%程度と非常に良好であり長期成績についても公表してきております。また、有害事象の軽減、治療成績のさらなる向上を目的とした数々のランダム化無作為試験を実施してきております。 今後も、小線源治療のみならず前立腺癌診断・治療の向上を目指した取り組みと後進の育成を行ってまいります。77寄附講座 前立腺小線源治療講座教授/田中 宣道寄附講座 手の外科講座教授/面川 庄平

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