法人の組織HPhttps://naraseikei.com/第58回日本整形外科学会骨・軟部腫瘍学術集会の学会ポスター 近年、血友病を始めとする血液凝固異常症の治療は進歩しつつありますが、より安全かつ有効な治療製剤の開発とその評価法の確立が望まれています。これらを達成するためには、血液凝固機構やその制御機構の解明が必要です。本講座は、血液凝固および制御機構を分子細胞レベルで解析することで血友病やその類縁疾患の病態を解明することで診断治療に貢献するとともに、本領域での臨床研究を促進するための基盤を構築することを目的として設置されました。2018年4月1日からCSLベーリング株式会社の寄付に基づき設置されました。開設当初は教授:嶋緑倫、助教:荻原建一、古川晶子の3名でした。2021年4月より教授:嶋緑倫、助教:下西成人(2024年4月より講師)の体制で現在も運営されております。 開設当初より小児科と密に連携をとっており、基礎研究のみならず、治験を含めた臨床研究を行っております。2018年から開設されており、歴史の短い講座ではありますが、その間にも血友病の治療は 本講座は、骨腫瘍切除後の再建に用いられる腫瘍用人工関節を本邦で唯一開発した京セラ株式会社のご厚意のもと平成31(2019)年4月に寄附講座として開講されました。講座名となっております骨・軟部腫瘍は、整形外科領域で扱ういわゆる運動器に発生する腫瘍疾患群で、特に悪性腫瘍、そのほとんどは肉腫に分類されますが、についてはその頻度が非常に稀であり、いわゆる稀少がんの代表的な疾患とされています。その特徴は、一言で言うとʻ多様性ʼにあり、病理診断・発症年齢・発生部位が多岐にわたるため治療の体系化が難しく、ゆえに生命予後も他臓器の悪性腫瘍疾患に比して悪い傾向にあります。また、稀少疾患ゆえ新規薬剤開発も他の臓器がんに比べ立ち遅れており、小児期や思春期・若年成人のいわゆるAYA世代に発症する疾患も多いため、社会的・心理的・経済的な問題も大きな課題となっています。従って、整形外科のみならず腫瘍内科、小児科、放射線科、病理診断科や緩和ケアチームなど多職種による集学的な大きく変わりました。代表的なものが血友病Aの治療薬であるエミシズマブが上市されました。本治療薬は血友病Aの治療の課題であった、インヒビターに対する出血予防、頻回の静脈注射の回避による家庭治療の促進を促し、患者自身がよりアクティブな生活を過ごすことが可能となりました。さらに、血友病Bにおいても凝固第IX因子の定期補充療法だけでなく、皮下注射による治療、そして奈良医大で初めての遺伝子治療に着手することができました。これらの成果を挙げることができたのも、80年にもおよぶ奈良県立医科大学および小児科の諸先輩方の努力によるものと考えております。20年後には開学100周年になりますが、その時にはさらなる発展を遂げていることを期待しております。治療が必須で、県下で唯一本学のみが肉腫に対する集学的治療が可能な施設であり、本講座がその中心を担ってまいりました。 本講座では、肉腫の病態の解明と新たな治療標的の探索、小児・AYA世代肉腫患者における心理・社会的課題の克服を開講以来の研究テーマとして基礎医学研究および臨床医学研究に分子病理学教室、小児科や緩和ケアチームの協力のもと取り組んできました。そして令和7(2025)年7月には、朴木寛弥を大会長に第58回日本整形外科学会骨・軟部腫瘍学術集会を奈良県コンベンションセンターにおいて主宰いたします。本学会は、全国からこの領域の基礎・臨床研究者が一堂に会する最も重要な学会として位置づけられており、奈良県立医科大学がこの学会を初めて担当させていただくことは大変光栄なことであります。奈良県における肉腫患者の唯一の集学的治療機関として、本講座がその治療ならびに研究の中心としてさらに貢献できるよう努めてまいりたいと思います。78寄附講座 骨軟部腫瘍制御・機能再建医学講座教授/朴木 寛弥寄附講座 血栓止血分子病態学講座教授/嶋 緑倫
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