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不整脈

不整脈は循環器の中でも特に専門性の高い領域です。当科では日本不整脈心電学会の認定する不整脈専門医が2名在籍しており、最高水準の診断、治療を提供しています。

頻脈性不整脈に対するカテーテルアブレーションにおいては、2種類の三次元マッピングシステム(エンサイトシステム、カルトシステム)を、患者さんの不整脈に応じて使い分け、心房細動や心室頻拍等の複雑な不整脈に対しても安全、かつ効果的なアブレーションを実践しています。

表1 カテーテルアブレーション件数の推移

カテーテルアブレーション件数の推移

※1回の手術中に複数の不整脈に対するカテーテルアブレーションを施行した場合、それぞれを1例としてカウントしています。

上の表に示します通り、アブレーション症例の大半が心房細動となっております。
心房細動に対するカテーテルアブレーションでは、通常行われる肺静脈隔離術の発展形とも言えるBox(箱型の)隔離術を積極的に実施し(図1)、最近では発作性心房細動、持続性心房細動ともに単回治療で80%以上、再治療を含めると90%以上の無再発率を得ています(表2)。

図1 心房細動アブレーション

心房細動アブレーション

表2 当院における心房細動アブレーションの成績(2016年)

単回治療後の
無再発率
再治療率 再治療後の
無再発率
発作性心房細動(60例) 83.3% 13.3% 94.7%
持続性心房細動(28例) 82.1% 10.7% 92.9%

・2016年に当院で初回の心房細動アブレーションを受けられた方の1年後の成績です
・再治療後の無再発率については、再治療後1年未満の方は除いています(発作性で3名、持続性で1名)
・無再発の定義は、抗不整脈薬を服用せず、症状のある心房性不整脈、もしくは30秒以上の心房性不整脈の発作が記録されないことを指します

心房細動アブレーションでは焼灼回数が多く、手技時間は約2~4時間かかりますので、原則的に全身麻酔で意識・痛みのない状態で治療を行います。入院期間は約5日程度です。
発作性上室性頻拍、特発性心室頻拍等のアブレーションの入院期間は2泊3日です。

植込み型デバイス治療

植込み型デバイス治療は県内トップの手術件数(表3)で、豊富な手術件数から、カットダウン法によるリード挿入法を第一選択としており、より生理的な心臓収縮を追求したヒス束ペーシングを積極的に実施するなど、より安全かつ有効な手術を追求しています。

表3 心臓植え込みデバイス手術件数の推移

心臓植え込みデバイス手術件数の推移

2012年10月以降の新規植え込みデバイスは全て、MRI撮影の対応機種です。
植え込みデバイスを有する患者のMRI撮影件数も累積で60件を超えており(2018年3月現在)、緊急のMRI撮影にも対応できる体制を整えています。植え込み後は、患者さんの自宅でデバイスの作動状況を観察できる遠隔モニタリングシステム(図2)を積極的に活用しています。

図2 遠隔モニタリング

遠隔モニタリング

当院は県内で唯一、エキシマレーザーを用いたリード抜去術の認定施設であり、デバイス感染や静脈閉塞等でリード抜去が必要な患者さんを受け入れています。他にも皮下植込み型除細動器や、リードレスペースメーカといった、新しいカテゴリーの植え込みデバイスについても植え込み資格を取得しており、患者さんに最適な選択肢を提示できるように努めております。

皮下植込み型除細動器
リードレスペースメーカ