教授挨拶

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彦惣俊吾

このたび2023年7月に奈良県立医科大学循環器内科学講座教授に着任しました彦惣俊吾と申します。どうぞよろしくお願い申し上げます。着任にあたってご挨拶申し上げるとともに今後の抱負を述べさせていただきます。

当教室は、1945年に設立された奈良県立医学専門学校内科学教室を源流として、1953年に奈良県立医科大学第一内科として開講しました。主に循環器内科学、腎臓内科学を担当し、多くの優れた業績と人材を輩出してきた伝統のある教室であります。2018年に臓器別再編により腎臓内科学教室と分かれて循環器内科学講座として新たに出発し、斎藤能彦先生が初代教授として教室を率いられ、私が第2代教授になります。このような素晴らしい教室を担当させていただくこととなり、大変光栄であります。大学医学部の臨床教室においては、診療、研究、教育は一体不可分です。奈良県唯一の大学医学部循環器内科学教室として、これら全てに責任をもって取り組み、さらに発展させて参ります。
診療については、これまで同様、奈良県の最後の砦として「断らない医療」を継続し、さらに患者満足度の向上に努めます。それぞれの診療分野において確実な標準的治療とともに、最新かつ独自性の高い治療法も積極的に行って参ります。また基本的な考え方として、個々の疾患だけではなく、心臓全体さらには全身を診ることを常に念頭においたgeneral cardiologyを重視し、奈良県の患者さんが安心して最高レベルの循環器診療を県内で受けていただけるように進めます。
教育は大学の重要な使命であり、全力で卒前、卒後教育に取り組みます。循環器内科学は患者に触れることにより情報を得て治療を行うことが特に多い診療科であり、ベッドサイドでの教育が重要です。循環器内科の生きた知識を持つ医師の養成を目指して学生指導を行います。また、日々の診療での指導を通して高度な専門的知識、技術と正しいマインドを持つ専門医の育成を目指します。当科では卒後3年目からサブスペシャリティ―を視野に入れた研修を進めており、充実した専門研修を受けることができます。診療技術だけではなくリサーチマインドも重視し、バランスのとれた広い視野を持ち、奈良県の循環器診療の発展に貢献できる若手循環器内科医師を一人でも多く育成したいと考えています。
研究に関しては、日々の診療での限界や疑問を解決し、次世代の循環器内科学を創る研究を進めたいと思います。既に当科では、心不全や急性心筋梗塞のレジストリー研究であるNara-HFレジストリー、Nara-MIレジストリーなどの臨床研究や、基礎研究としては心筋症、心不全の病態解明研究、心腎連関のメカニズム解明研究など、多くの優れた研究が進んでいます。これらの研究をさらに発展させ、新たな研究にも取り組んで参ります。
一方で、これらのことは大学だけで行うことには限界があります。地域医療機関および同窓会の先生方との連携、ご協力によりさらに大きな発展が望めるものと考えております。病診連携、病病連携を重視し、診療、人材育成、研究を地域全体の協力をいただきながら進めてまいりたいと考えておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
当科には、やる気に満ちた優秀な若手の先生方、それぞれの分野で指導的立場にある先生方など、素晴らしい教室員が多く在籍しています。この先生方とともに、伝統を重視しつつ、新たな時代を見据えた前向きなマインドにあふれるチームを創り、世界の循環器内科学の発展に貢献し、さらには牽引できる教室を目指して参ります。ご関係の全ての皆様のご協力をお願いするとともに、この新たなチームに加わっていただける若い力が一人でも多くなることを期待します。

2023年9月