患者様へ

緩和医療

  奈良県立医科大学附属病院では平成17年3月に緩和ケアチームを発足し、平成19年2月より院内のがん患者の症状緩和相談依頼の受付を開始、その後平成21年5月より緩和ケア外来を開設しました。
  現在の緩和ケアセンターは外来A棟2階に診察室を構え、専従医師2名、看護師5名(ジェネラルマネージャー1名、チーム専従看護師2名、緩和ケア認定看護師2名)、専任薬剤師1名、精神科医師1名等によって活動しています。ここから研修医、主治医、病棟看護師、外来看護師、外来化学療法室、放射線治療室のスタッフ等と協働し、患者・家族への支援をおこなっています。

  緩和ケアチームの活動は、主として入院中の患者・家族に対して、主治医からの依頼があった場合、コンサルテーションを旨とした診察・ケアです。一方、外来診察も行っており、外来で治療を行っている患者さんのケア、家族・遺族ケアも精力的に行っています。今後は看護師が主体となった看護外来、医療相談で行われているがん相談にも力を入れてまいりたいと思っております。

  毎週水曜日の午後5時30分からは、緩和ケアチーム以外に主治医・在宅医・病棟看護師等多職種のメンバーでカンファレンスを行い情報の共有を図っています。また、月末の木曜日午後6時より、地域医療を担っている医療者とカンファレンスを通じた交流も始めました。院内、院外の医療者との「顔の見える関係」作りに力を入れてまいりたいと思います。

  WHOの緩和ケアの定義は「生命を脅かす疾患による問題に直面している患者とその家族に対して、疾患の早期より痛み、身体的問題、心理社会的問題、スピリチュアル(実存的)な問題に関して、きちんとした評価を行ない、それが障害とならないように予防したり、対処することで、クオリティ・オブ・ライフを改善するためのアプローチである」とあります。今後はがん以外の疾患に対しても緩和ケアが行われるアプローチが必要と思います。各医療セクションとの共同が必須です。

  緩和ケアは治療が終わった後の終末期だけの医療では決してなく、診断されてから、積極的な治療とともに行う治療です。がん治療においては、手術、放射線治療、化学療法に続く第4に治療であると考えられています。しかし、まだまだ緩和ケアに対する誤解は少なくないのが実情です。今後もがん診療連携拠点病院事業をはじめとした院内外の啓蒙・教育活動にも積極的に取り組んでいきたいと思います。

文責:四宮敏章

詳細は、以下を参照して下さい。
https://kanwa.naramed-u.ac.jp/