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腫瘍内科(がんゲノム・腫瘍内科学)

責任者からのメッセージ

松本 雅則(教授)

血液内科は、ベッドとベンチが近い領域と言われています。研究と臨床が近いという意味ですが、研究で見つけたことを臨床に活かせる、臨床の疑問を研究対象とすることが容易であると言えます。

最近、分子標的療法や免疫療法という用語をよく見かけますが、これを臨床に導入したのはすべて血液内科と思われます。分子標的療法は急性前骨髄球性白血病のATRA療法、免疫療法として骨髄移植が臨床での始まりだと思います。現在も、白血病や多発性骨髄腫などの悪性疾患の他に、私の研究対象である血栓性血小板減少性紫斑病などの希少疾患に対しても新しい作用機序の薬剤が次々と導入されています。

このように血液内科は医学の最先端を学んで実践できる領域です。また、血液内科は、悪性疾患を治癒に導く治療ができる唯一の内科であり、非常にやりがいがあります。そして、今後さらに大きく発展する可能性があります。

当科は、2023年4月に診療科として独立した歴史の新しい診療科です。若いスタッフが多く、これから歴史を作っていく過程ですので、一緒に歴史を作っていってくれるやる気のあるスタッフを待っています。大学病院でしかできない最先端の医療を一緒に勉強していきましょう。

キャリアパス

血液内科における専門医プログラムでは、土台となる内科医師としての力量を幅広く養うとともにスペシャリティーとして血液内科全般の診療が可能な専門医を育成することを目標としています。そのために、プログラムを通して、血液悪性腫瘍にとどまらず、良性疾患や血栓止血関連疾患の診断から初期治療、長期的な管理までを経験します。治療としては化学療法(抗がん剤、分子標的薬)、造血幹細胞移植、免疫抑制療法、免疫抑制患者における感染症管理、輸血療法、オンコロジー・エマージェンシーへの対応など幅広い知識の習得と経験が可能です。

モデルケースとしては3年間の専門医プログラム中で、2年間は大学病院、1年間は関連病院で研修を行いますが、関連病院での研修は施設によって一般内科も含めた研修、血液内科に特化した研修を希望に応じて選択することができます。

その後のキャリアについては、①大学病院において造血幹細胞移植を初めとした専門的血液内科診療に従事、②関連病院や診療所において地域に根ざした血液内科診療に従事、③医学博士の学位取得を目標とした大学院進学や留学など、個人の希望に合わせて幅広い活躍の場があります。また、関連分野として、日本輸血・細胞治療学会輸血認定医、日本血栓止血学会認定医、日本造血・免疫療法学会認定医などの資格取得が可能です。

先輩医師からのメッセージ

内原 正人

血液内科の内原と申します。私は初期研修の修了後に血液内科に入局し、後期研修の1、2年目を奈良医大で研修させて頂きました。

血液内科の研修では悪性リンパ腫や白血病をはじめとした血液悪性腫瘍の診療を中心に経験することができました。また、入院診療だけでなく専門外来や救急対応の経験もたくさんすることができました。

血液悪性腫瘍は複雑・難解なイメージがありますが、様々な化学療法や造血幹細胞移植などの内科的な治療で治癒を望める可能性があり、そこにとてもやりがいを感じます。また、血液内科では診断から治療にわたってほとんどの部分を他科に紹介することなく、自身で診ることができることも魅力の一つです。その他には化学療法や造血幹細胞移植を行う際に血液疾患だけではなく、様々な合併症を診ることを求められるため、自然と患者さんの全身を診る力を身につけることができると思います。また,中心静脈カテーテル留置、腰椎穿刺、骨髄穿刺などの基本的な内科手技も豊富に経験できました。

とても充実した研修ができると思いますので、血液内科に少しでも興味のある先生は是非研修に来ていただければと思います。

一週間の業務例

← 図表は左右にスクロールできます。 →

午前 病棟当番 出張 外来化学療法室 外来当番 外来当番 上級医指導の下で当直業務(月2回ペース) 上級医指導の下で当直業務(月2回ペース)
午後 外来当番
カンファレンス①
出張
カンファレンス②
病棟患者総回診
血液像カンファレンス(月2回)
病棟当番 病棟当番

基本的には週1回の出張日があり、週4日大学病院勤務となります。カンファレンスは週2回、主に新入院患者と相談症例を提示します。水曜日は月2回程度、骨髄像・末梢血像について医師・検査技師合同で症例検討を行います。

外来化学療法室当番は他科と合同で当番をローテーションするので、業務から外れる場合もあります。

当直については、3年目最初の6か月間は上級医とともに当直となり、平日当直はなく、土日に月2回のペースで上級医指導の下、研修を兼ねた当直業務を行います。一部、ER当直に振替となります。以降は上級医オンコール体制の元、単独当直となります。

GSコースの三年間

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4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月
1年目 大学血液内科
土日ERにてプライマリケア当直研修
大学他内科 or 大学血液内科
土日ERにてプライマリケア当直研修
2年目 連携施設にて一般血液内科および一般内科研修
3年目 大学血液内科 症例が不足する科をローテート

3年間の専門医プログラム中で、2年間は大学病院、1年間は関連病院で研修を行いますが、関連病院での研修は施設によって一般内科も含めた研修、血液内科に特化した研修を希望に応じて選択することができます。また、履修状況に応じて内科専門医取得に必要な症例の経験のため、他科をローテートすることも可能です。そして、内科専門医を取得後、多くの医師は卒後7~8年目に血液専門医を取得します。しかし、あくまでも以上は代表的な例であり、男女問わずそれぞれのライフプランに応じて柔軟なキャリアパスを描くことが可能ですので、ご相談ください。

お問い合わせ

  • 奈良県立医科大学附属病院 血液内科(血液内科学)
  • TEL:0744-22-3051(代)

その他、詳細情報については特設HPへ

血液内科(血液内科学)特設ページ