奈良県立医科大学輸血部

業務紹介

輸血検査と輸血製剤の準備

「安全」・「適正」を第一に、「緊急性」に即した輸血医療体制を、24時間体制で実施しています。

1.輸血前検査

ABO血液型/RhD血液型

輸血検査

輸血を実施する為には、血液型検査は必ず必要です。ABO血液型は、赤血球のA型およびB型抗原の検出を目的としたオモテ試験と、血清(血漿)中に存在する抗Aおよび抗B抗体の検出を目的としたウラ試験を実施後、総合判定します。

検査は、自動化機器を用いてカラム凝集法(Column Agglutination Technology : CAT)で検査した結果と臨床検査技師が試験管法で検査した結果を総合的に確認した上で、検査管理システムに登録します。

赤血球不規則抗体スクリーニング検査

輸血時に問題となるABO血液型以外の血液型抗原に対する抗体(不規則抗体)を調べる検査です。

検査は、全自動輸血検査装置を用いたカラム凝集法により、間接抗グロブリン試験を実施しています。

交差適合試験

輸血の直前に、輸血用血液製剤と患者さんの血液との組み合わせが輸血に支障をきたさないかを調べる検査です。

検査は、試験管法にて生理食塩液法と間接抗グロブリン試験を実施します。

血小板抗体検査

抗血小板抗体が産生されているかいないかを調べ、患者さんに適合する血小板を選択するのに必要な検査です。

抗血小板抗体には、同種抗体と自己抗体が存在します。

同種抗体には、抗HLA(human leukocyte antigen)抗体、抗HPA(human platelet antigen)抗体などがあり、血小板輸血不応状態(platelet transfusion refractoriness : PTR)の他、輸血後紫斑病や新生児同種免疫性血小板減少症などの原因となります。

検査は、混合受身凝集法(mixed passive hemagglutination : MPHA)を用いて実施します。

直接・間接抗グロブリン試験

◇ 直接抗グロブリン試験

自己免疫性疾患・新生児溶血性疾患などの診断、不適合輸血、薬剤による有害事象時に検査します。

◇ 間接抗グロブリン試験

血漿中のIgG抗体(不規則抗体など)の存在を調べる検査です。

 

2.輸血

通常輸血

ABO/Rh(D)血液型が同型の輸血用血液製剤を準備し、間接抗グロブリン試験陰性を確認した上で出庫します。

但し、緊急性を伴う場合には、緊急度に即した輸血検査を実施しています。

緊急時輸血

以下の緊急輸血が必要な場合、ABO血液型不一致による溶血性副作用が起こらないと考えられる、「O型赤血球製剤」や「AB型新鮮凍結血漿」を用いた緊急措置をとります。

① 出血性ショックの為、患者さんのABO血液型を判定する時間的余裕のない場合
② 同型が不足した場合
③ 緊急時に血液型判定が困難な場合等

稀な血液型の輸血

事前の輸血検査で稀な血液型であることが判明した患者さんへは、日本赤十字血液センターと連携し、患者さんにとって安全な輸血用血液製剤を準備します。

赤血球不規則抗体を保有する患者さんへの通常輸血

患者さんにとって安全な輸血用血液製剤を選択(適合血)し、準備しています。

輸血事故防止マニュアルの院内での共有

輸血事故防止のためのマニュアルを院内で共有し、輸血事故防止に努めています。