ここから本文です。
更新日:2020年7月10日
腎臓内科は2018年1月1日に新たに開設された講座で、主に腎臓病の診療を担っております。腎臓病は「顔や足のむくみ」という自覚症状が有名ですが、そういった症状が現れないこともしばしばあり、そのため無症状でも検尿や血液検査で指摘されることもあります。さらに腎臓病は進行すれば、末期腎不全に至り、人工透析や腎移植が必要になることもあります。従来、慢性腎炎や慢性腎不全などと呼ばれていた腎臓病は近年、慢性腎臓病(CKD)と呼ばれ、わが国でも「約8人に1人がCKD」と非常に有病率が高い疾病です。全国的にCKDの早期発見ならびに早期治療を促進することで、透析導入患者数を減少させようとする機運が高まっております。腎臓内科では、腎臓病の専門性を追究した腎専門医が多数在籍し、地域の医療機関との連携を密にすることで、CKD診療の早期治療に取り組んでおります。
腎臓内科では,検診で異常を指摘された蛋白尿・血尿から腎機能障害ならびに透析導入を要する末期腎不全など幅広い腎疾患に対応しております。
●検尿異常(蛋白尿・血尿)
検尿異常の原因には、慢性糸球体腎炎やネフローゼ症候群をはじめ、膠原病や生活習慣病である糖尿病や高血圧による腎障害などがあります。その原因精査のために当科では腎生検を積極的に施行し、得られた腎組織から診断病名を確定します。その結果から当科の腎専門医がその患者様に最も適した治療を実践します。
●常染色体優性多発性嚢胞腎(ADPKD)
遺伝的疾患による腎臓病の代表である常染色体優性多発性嚢胞腎(ADPKD)の治療を当院では行っております。この病気はこれまで特異的な治療法はなく、高血圧や腎不全に対する対症療法しかありませんでしたが、トルバプタンという薬が認可されました。この薬は、元々、心不全や肝硬変に対して使用されていた薬ですが、腎臓の嚢胞の増大や腎機能の低下を抑える効果があることがわかっています。
●慢性腎臓病 (CKD)
前述しましたように、CKDは無症状のままで末期腎不全に至りうる腎臓病です。CKD管理では、主に血圧や血糖などの生活習慣病の管理が最重要となります。そのため、管理栄養士の食事指導のもと、患者様個々の病態に適した食事療法を実施し、糖尿病を合併されておられる患者様には、糖尿病専門医の先生方と併診して頂いております。また、当科の看護師はCKDの基礎知識や基本的な管理などの患者指導を行っております。腎臓内科では、これらの多職種間の協力体制を築き上げることで、患者様の透析導入を少しでも減少あるいは遷延させることを目標にしております。
●透析導入・腎移植
慢性腎臓病(CKD)が進行した場合や急激に腎機能が低下する急性腎障害(AKI)では、永続的な透析療法が必要になることがあります。腎臓内科では、そのような腎臓病の患者様には、まず看護師あるいは医師より血液透析・腹膜透析・腎移植に関する必要な情報を御提供させて頂きます。その上で、患者様の御希望に沿った形で腎専門医と看護師が協力し、適切な治療法選択を実践しております。
「腎臓は全身の鏡である」とよく言われます。すなわち、「腎臓が良くない」ということは「全身の臓器の環境も良くない」ということで、この独特な関連性は県民の皆様の健康寿命にも大きな影響を与えます。腎臓内科では、県民の皆様の腎臓を全力でサポートすることで、全身の健康状態を守ります。また、地域の病院や開業医の先生方とも協力体制を整え、患者様の御希望に沿った形での診療を実践しております。最後になりましたが、県民の皆様に腎臓病の予防と管理の大切さを学んでいただけるように、腎臓病教室とCKD市民公開講座を適宜開催しておりますので、御参加のほど、宜しくお願い申し上げます。