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私たちは “質の高い外科治療を患者様に提供すること”を目標に掲げ、年間約250例の手術を行っております。大学病院であることを生かし循環器内科、放射線科などの関連各科とも緊密に連絡を取り、最新の検査で正確な診断のもと安全な手術を提供しています。また、心臓、血管の病気は高齢になるほど多くなるため手術を必要とする方も高齢の方が多くなっております。そのため、体の負担をできるだけ軽くする手術(低侵襲手術)を心掛けています。さらに輸血量削減や無輸血手術を目指し、自己血貯血や自己血小板採取などにも積極的に取り組んでいます。
冠状動脈バイパス術では体の負担を減らすために人工心肺装置を用いない“心拍動下冠動脈バイパス術”を第一選択肢にしており、90%以上の患者様に行っております。僧帽弁閉鎖不全症では可能な限り人工弁を用いない僧帽弁形成術を行っています。これによりワーファリンが不要であり人工弁の劣化の問題も無く手術の質ひいては生活の質(QOL)が向上しています。胸部大動脈瘤では放射線科と合同チームで最新のステントグラフト治療やステントグラフトと手術治療を合わせた“低侵襲ハイブリッド治療”を行い、良い結果を得ています。閉塞性動脈硬化症では重症の下肢虚血に対して末梢の動脈にバイパス術を行うことで足の切断を避けるように治療しています。腸骨動脈より大腿動脈の病変に対してハイブリッド手術を行うことで体の負担を軽減し長期成績も良好です。新手術棟にはハイブリッド手術専門の部屋が設置されており、さらに低侵襲手術が可能になっております。また、経カテーテル的大動脈弁置換術も開始しています。
冠状動脈疾患(狭心症、心筋梗塞、左室瘤など)
弁膜症(大動脈弁狭窄、大動脈弁閉鎖不全、僧帽弁狭窄、
僧帽弁閉鎖不全、三尖弁閉鎖不全など)
心臓腫瘍(粘液腫など)
大動脈瘤、大動脈弁輪拡張症(マルファン症候群)、大動脈解離、
大動脈炎(高安病、炎症性大動脈瘤など)
閉塞性動脈硬化症、ビュルガー病、下肢静脈瘤、リンパ浮腫など
患者の皆様、ご家族の皆様は大きな病気を抱え、大変不安な気持ちになっておられることとお察しいたします。かかりつけ医や専門内科医より十分に説明を受けておられると思いますが、再度手術治療につきご家族と共に説明させていただきます。その上で最終的な治療方針を決定し、元気に社会復帰していただけるように努めていきます。