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自閉スペクトラム症中核特徴に対するオキシトシン経鼻剤の改善効果を規定する遺伝子を全ゲノム解析によって同定
 

研究成果のポイント 

  • 双方向的な対人交流の困難といった自閉スペクトラム症中核特徴に対するオキシトシン経鼻剤の改善効果を規定する遺伝子を全ゲノム解析によって同定しました。
  • 投与前に遺伝子を解析することでオキシトシンによる治療効果が期待しやすい方に選択的に投与して治療の最適化を図ることが期待されます。
  • 同定した遺伝子のようなオキシトシン分泌を調節する系を標的とした新たな治療薬を開発することで効率的で有効な治療方法を開発することが期待されます。

本研究成果は、Nature Publishing Group の医学誌「Molecular Psychiatry」に3月28日に公表されました。

概要

 浜松医科大学精神医学講座の研究グループ(責任研究者:山末英典教授)は、国内17施設との共同研究によって、全ゲノムの60万を超える遺伝子多型から、自閉スペクトラム症中核特徴に対するオキシトシン経鼻剤の改善効果を規定する遺伝子を探索し、2型リアノジン受容体という遺伝子の多型を同定しました。この2型リアノジン受容体は、カルシウムチャンネルシグナル伝達を通じてオキシトシン分泌を調節する役割を持つことがこれまでに行なわれていた動物実験から示されていました。全ゲノム60万を超える遺伝子多型から探索して同定した遺伝子についてさらに独立した異なる臨床試験のデータセットでも関連を確認し、さらにはその遺伝子がオキシトシン分泌を調整する分子の遺伝子であったことは、この遺伝子の重要性を頑健に支持する意義深い結果です。今回の研究結果から、投与する前に2型リアノジン受容体の遺伝子多型を確認することでオキシトシンによる治療効果が期待しやすい方に選択的に投与して治療の最適化を行なうという戦略が考えられます。また、リアノジン受容体のようなオキシトシン分泌を調節する系を標的とした新たな治療薬を開発することで効率的で有効な治療方法を開発することが期待されます。

 なお本研究は、文部科学省「脳科学研究戦略推進プログラム」の「精神・神経疾患の克服を目指す脳科学研究(課題F):発達障害研究チーム(拠点長:名古屋大学・尾崎紀夫教授)」と国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)脳科学研究戦略推進プログラム『臨床と基礎研究の連携強化による精神・神経疾患の克服(融合脳):発達障害・統合失調症研究チーム(チーム長:浜松医科大学・山末英典教授)』臨床研究・治験推進研究事業(代表:浜松医科大学・山末英典教授)、および日本学術振興会が交付する科学研究費助成事業の基盤研究(B)『自閉症中核症状の新規治療シーズ創出:RCTベースの多層オミクスと検証的動物実験』(代表:浜松医科大学・山末英典教授)の一環として行なわれました。研究成果は、Nature Publishing Group の医学誌「Molecular Psychiatry」に3月28付で掲載されました。

発表論文

雑誌名:Molecular Psychiatry
論文名:A key gene modulating oxytocin efficacy in autism: Genome-wide discovery and verification in randomized controlled trials datasets
著者名:Hitoshi Kuwabara, Masaki Kojima, Seico Benner, Takeshi Otowa, Takamitsu Watanabe, Miho Kuroda, Keiho Owada, Walid Yassin, Junko Hamada, Yukiko Kano, Yota Uno, Itaru Kushima, Daisuke Mori, Yuko Arioka, Toshio Munesue, Kiyoto Kasai, Haruhiro Higashida, Osamu Abe, Hidemasa Takao, Tomoyasu Wakuda, Yosuke Kameno, Jun Inoue, Taeko Harada, Aya Yamauchi, Nanayo Ogawa, Nami Honda, Saya Kikuchi, Moe Seto, Hiroaki Tomita, Noriko Miyoshi, Megumi Matsumoto, Yuko Kawaguchi, Koji Kanai, Manabu Ikeda, Itta Nakamura, Shuichi Isomura, Yoji Hirano, Toshiaki Onitsuka, Nagahide Takahashi, Mitsuko Nakashima, Hirotomo Saitsu, Kenji Kondo, Masashi Ikeda, Nakao Iwata, Mihoko Shimada, Tsukasa Sasaki, Nori Takei, Norio Ozaki, Hirotaka Kosaka, Takashi Okada, Hidenori Yamasue*. *責任著者
DOI:10.1038/s41380-026-03562-y

 

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